ここ数年で、DX(デジタルトランスフォーメーション)というキーワードをよく耳にするようになりました。DXとは端的にいうと、「デジタル技術を用いてビジネスや生活を変容させること」で、様々な分野で注目されています。
マーケティング領域においてもこのDX推進の流れは例外ではなく、“マーケティング領域のDX推進”を部署やプロジェクト等のミッションとして掲げる企業が増えてきています。
本記事では、マーケティング領域におけるDXについて解説します。
マーケティング領域においてDXを推進するメリット
従来のマーケティングは、TVCMやDM送付といった「すべての顧客に対する画一的なアプローチ」が主流でした。このようなアプローチは大人数に向けてメッセージを届けられる一方で、効率的にユーザーを購買に誘導することが難しく、またメッセージを受け取ったユーザーがわずらわしさを感じやすいといった懸念があります。
最近では多様なチャネルを通して得られた顧客のデータを活用した「ユーザーひとりひとりの行動や嗜好にあわせて細かくパーソナライズされたアプローチ」がより注目を集めており、これはマーケティング領域においてDXを推進することで可能となります。
そもそも、マーケティング領域においてDXが可能になった背景に、企業と顧客を取り巻く環境の変化があります。
まず一点目は、企業と顧客のタッチポイントの増加です。スマートフォンの普及など、デバイスの多様化により、企業サイト、LINE、メール、SNSといった企業と顧客のタッチポイントが増加しました。これに伴い、企業が顧客のデータを集めたり、顧客にアプローチしたりできる場が広がっています。また2020年以降は、新型コロナウィルス流行の影響によって、顧客と直接会わずにオンラインでコミュニケーションをとることが更に重要視されています。
二点目は、クラウドの出現です。クラウドとは、データベースやアプリケーションなどのリソースをインターネットを通じて利用することができるサービスです。クラウドが普及する以前は、データを処理する環境を整えるために大がかりなサーバーを用意しなくてはならず、価格面での課題がありました。クラウドが普及してからは、自社でサーバーを用意するよりも安価にデータを処理できる環境が手に入るようになったため、データを活かしたマーケティング施策もより行いやすくなっています。
これらの変化に伴い、データを利用して顧客に個別にアプローチできるようになったのです。
マーケティング領域でDXを実現するには
では、どのようにすれば顧客のデータを活用して「ユーザーひとりひとりの行動や嗜好にあわせて細かくパーソナライズされたアプローチ」が実現できるのでしょうか。
それには、DX化を推進し、各チャネルから顧客のデータを取得して、施策に活かすことができるような環境を整える必要があります。ここで、顧客のデータを取得し、パーソナライズされたアプローチを行うまでの一般的な流れを、図でご説明します。
この図からもわかるように、「ユーザーひとりひとりの行動や嗜好にあわせて細かくパーソナライズされたアプローチ」を実現するには、データを扱う【環境整備】と、またメッセージ配信や広告配信といった【施策実施】の両方を繰り返していくことが大切です。
それぞれ具体的にご説明します。
環境整備
環境整備が必要な理由は、「パーソナライズされたアプローチ」を実現するためにも顧客各個人に関するデータを集約出来ていなければ、顧客のニーズを把握することが出来ず適切なアプローチを実施することはできないためです。各チャネルから得た顧客の情報を資産とし、活用することがデータ活用において重要です。
具体的にはデータを蓄積するCDP(※1)の構築や、システムごとバラバラになっているデータ同士の統合、また必要に応じて外部データを取り入れてリッチ化することなどがあげられます。
特に、ユーザーがログインするような会員基盤やECサイトを持たない企業は、比較的データを集めることが難しいです。そのためオウンドサイトのアクセスデータを中心に、様々なデータの統合を実施し、データを拡充することを検討してもよいでしょう。
環境の整備にあたり、LINE公式アカウントから得たユーザーのデータをマーケティングに利用可能な『DialogOne® Connect』、豊富な3rdPartyDataを提供可能な『AudienceOne Discovery®』といったサービスを提供しています。これらを組み合わせることで、例えば金融業界の場合「LINEのメッセージ配信でキャンペーン施策へのクリックが多い、かつクレジットカードに興味関心のある未会員ユーザー」の把握が可能になります。
施策実施
データ環境を整えるだけではなく、そのデータを実際にどうマーケティングに役立てていくかを考えることが非常に重要です。
まずは、データに基づいて施策の検討を行います。データ分析により顧客理解を深め、どの層を対象にどういった施策を行うかを検討します。その後、実際にデータを活用したコンテンツ、メッセージ、広告等の配信を行います。
例えば前述の金融業界の例で把握した「LINEのメッセージ配信でキャンペーン施策へのクリックが多い、かつクレジットカードに興味関心のある未会員ユーザー」にFacebookでクレジットカード入会キャンペーンの広告を配信するというような施策が考えられます。
施策実施は当然かと思われますが、実際にCDP等を構築したが施策に活用できていない、という声はよく聞きます。そのため、具体的な施策目的を考えながら環境整備を行う必要がございます。現状データの活用先がメールやDMのみなど、チャネルが限られている場合は、他のチャネルへの拡大も検討されてもよいでしょう。
DACでは、LINEを通じた顧客へのメッセージ配信をサポートするDialogOne®、データを用いてセグメント毎に広告配信を行うAudienceOne Connect®というサービスを提供しています。
まとめ
マーケティング領域におけるDXを推進するうえでは、データの取得、データを蓄積する基盤の構築、施策の検討、施策実施といった理想のプロセスに沿って実施していくことが重要です。どこから始めるかの判断が難しい企業の場合は、まずはCDPを導入してデータ基盤を整備することから始めることを推奨します。データの基盤が整備できていないと、施策を行っても精度の高い配信が実現できないためです。
そのほかにも、DACではマーケティング領域におけるDX推進をサポートする様々なソリューションを提供しています。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお問い合わせください。