今回は、DACの取引先企業である株式会社Legoliss(以下、Legoliss)にDACのADH(Ads Data Hub、Googleの広告データ分析プラットフォーム)を担当するチームが、ADHとグローバルの大手位置情報ベンダーである「Foursquare」の連携について、インタビューを受けた様子をお届けします。
インタビューでは、今回の“ADH×Foursquare”の設計が実現した経緯や、広告業界においての位置情報とADHの需要や価値、そして“ADH×Foursquare”で可能になったことについて、お話しています。
※本記事はLegolissの記事を一部編集の上、転載する形で掲載しています。
◆DAC プラットフォームストラテジー本部 メディアDX推進局 データデザイン部
下奥鈴佳
2021年DACに入社し、Googleソリューションを担当。3PAS、アドベリフィケーションツールの導入支援や分析に携わり、クリエイティブに関する改善ソリューションも担当する。
◆DAC プラットフォームストラテジー本部 メディアDX推進局 データデザイン部
滝沢 涼介
2021年DACに入社し、Googleソリューションを担当。特にADH(Ads Data Hubの略:Googleが提供するデータクリーンルーム)を中心にデータクリーンルームや、GA4でのアクセス解析や導入を推進する。
◆Legoliss 堤ユキナ氏
新卒でLegolissに入社。Foursquareを中心とした海外ソリューション・ベンダーの国内セールスやローカライズに加え、ソリューションを活用した広告運用も担当。
◆Legoliss 吉田沙織氏(インタビュアー)
商品開発や販売促進業務に従事した後、食品のEC運営会社で営業、人事として活躍。
Legolissでは広告会社、広告主へ位置情報ソリューションFoursquareを中心としたプロダクトセールスを担当する。
オフラインの強力な興味関心データとして、来訪計測の需要が急増
Legoliss吉田:
Foursquareと、昨今の位置情報データのトレンドについて教えてください。
Legoliss 堤:
Foursquareは、主に広告配信での位置情報ターゲティングや来訪(来店)計測を目的として、どこの場所に・どういう人が・いつ訪れたかというデータを提供しています。位置情報ベンダーとして初めてMRC(Media Rating Councilの略:メディアに関して調査と評価を行う米国の非営利団体)に認定を受けているほど、データの精度が高いです。また、グローバル企業のため、海外データも保有している点がFoursquareの強みだと思います。パンデミックが収束に向かっているまさにいま、人々の移動が増え、改めてオフラインの強力な興味関心データとしてマーケターの皆様からの需要が増えています。
下奥:新型コロナウイルス感染症拡大の影響が緩和し、消費者が店舗に訪れる機会が今まで以上に増えました。小売店や車業界など実店舗をお持ちのクライアント様には、広告接触後のコンバージョン(最終的な成果)、なかでもとくに、店舗への来訪につながっているのかを可視化したいという需要があります。来訪分析と聞くと小売のイメージが強いかと思うのですが、昨今では観光業界クライアント様の需要も伸びてきています。
ハイセキュアかつ、外部データとの掛け合わせも可能な“自由度の高い”ソリューション
Legoliss吉田:
店舗への来訪分析において、ADHはどのようなソリューションでしょうか?
滝沢:ADHはGoogleの提供するデータクリーンルームです。データクリーンルームでは、条件付きで広告配信結果のデータにアクセスができ、広告接触した消費者のプライバシーを保護しつつ動向分析を行うことができます。データクリーンルーム活用のメリットは、Cookieに依存することなく利用ができ、プラットフォーマーの提供する情報で個人を特定できるため、ポストCookie時代に適したソリューションと言えます。広告配信結果のデータだけでなく、外部データとのかけ合わせもできるため、より自由な分析が行うことができ、需要の高いソリューションです。
Legoliss吉田:
今回もその自由度の高さによってFoursquareとの連携が実現されたのですね。
本ソリューションの商流および各社役割分担について
Legoliss吉田:
今回共同リリースとなる、FoursquareとADHをかけあわせた広告商品についてお聞かせください。
Legoliss 堤:
弊社、株式会社Legolissは米Foursquareの日本総販売代理店であり、Foursquareは位置情報を提供するデータベンダーです。Foursquareから位置情報データをADHへ送り、その後、DAC様がADHを活用してクライアント様ごとに来訪分析をする、という役割分担になります。
「需要に応えるために、超えたい“データ受け渡しの壁”があった」
ADHで来訪計測を行う必要性
Legoliss 堤:
Foursquareのようなデータベンダーにとって、ビジネスの核である生データ(Raw data)を受け渡すことは大変慎重にならざるを得ません。もちろん生データ(Raw data)はマーケターの皆様にとって価値は高く、汎用性も高いことは理解しておりますが、データを受け渡した後のコントロールが課題でした。決して広告会社様を疑っているわけではないのですが、笑。そのような理由から、これまでご要望は大変多くいただいておりましたが、Foursquareではグローバルでも生データ(Raw data)の受け渡しは行っておりません。
ですので、今回のDAC様が完全に特例ということになります。実現のために、まずはADHというデータクリーンルームを活用することを条件として、日本のマーケットの現状やデータクリーンルームの需要を材料にFoursquare側と交渉を続けました。かなり難航しましたので、まさか実現できるとは思っておらず、Foursquareから承認されたときは感激しました!
今回の設計が実現した理由
Legoliss 堤:
一番の理由は、DAC様とのこれまでの関係性だと思います。来訪計測やターゲティング以外にも、過去にDAC様の自社DMP「AudienceOne®」へFoursquareデータをお送りさせていただいた実績もあり、日頃からFoursquareデータにご興味を持っていただき、活用案についてのコミュニケーションも頻繁にさせていただいておりました。Foursquareデータのポテンシャルを最大限発揮するためには、DAC様とご一緒させていただくしかいない!と思ってました。
また、私個人としても、今後より一層分析ツールの重役となっていくであろうデータクリーンルームを活用できればと思っておりまして、生データ(Raw data)の受け渡しに関する突破しなければならない諸条件の壁を越えて、マーケターの皆様により自由なデータ分析の基盤をご提供したいと強く思う気持ちが、今回の設計を実現する原動力となりました。
ホットな分析データをさらに深く、新しいデータ提供のきっかけに
Legoliss吉田:
この商品設計の意義とマーケターへのメッセージをお願いします!
下奥:これまでもFoursquareデータを3PASでつなぎ、基本的な来訪計測はできていましたが、タグ設置が必要であり、外部データと突合できず、より深い分析ができないといった課題がありました。今回ADHを介してデータ連携ができることにより、分析のなかでもホットで注目されているテレビCMデータと掛け合わせた効果検証や、媒体側がもっている属性データとの掛け合わせができることで、より深い来店計測ができるようになります。実店舗を保有するマーケターの皆様には、どういう人が訪れているかさらなる情報が得られます。
滝沢:デジタルマーケティングの課題として、オンラインデータとオフラインデータの分断があり、クライアント様からもよくご相談をいただきます。今回ADHを活用した座組の商品で、よりオンラインとオフラインの統合したマーケティングが実現できるため、大変需要があると思います。ADHを活用した分析の強みとして、属性分析、重複分析(とくにテレビCM)があり、マーケターの皆様のさらなる課題解決に貢献できます。Googleの提供するADHに限らず、Yahoo、LINE、X(Twitter)、Metaのデータクリーンルームも、DACでは取り扱っておりますので、今回の座組を今後横展開していきたいです。
※本記事はLegolissの記事を一部編集の上、転載する形で掲載しています。