※2023年 7月 3日(月)更新
「Google アナリティクス 4 」(以下、GA4)がローンチされ早 3年、2023年7月1日でユニバーサル アナリティクス(UA)の無償版におけるサポートが終了しました。本記事をご覧になられている方は、既に GA4 を活用していくフェーズに移られている方も多いかと思います。
前回の記事ではセグメントについてご紹介しましたが、今回は「予測機能」についてご紹介します。特に EC サイトを運用されている方は、広告配信やユーザーの理解に活用できる機能になると思いますので、ぜひ本記事を参考にご活用ください。
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GA4 の「予測機能」について
GA4 の「予測機能」は 2 種類あり、「予測指標」と「予測オーディエンス」に分けることができます。
どちらも Google の機械学習を用いてユーザーの今後の行動を予測することができ、購入に繋がりやすいユーザー属性の把握や、予測した結果を広告配信のターゲティングリストにすることで、より成果の高い広告施策への活用が期待できます。
これまで GA で取得したデータで機械学習を用いた予測を行うには、データサイエンスなどの専門的な知識や技術が必要でした。しかし GA4 では予測の元となるデータがGA4 に蓄積されていれば、GA4 の管理画面上で予測を行うことができます。誰でも簡単に利用できる機能になりましたので、ぜひこの機会に覚えていただけたらと思います。
「予測指標」とは
GA4 の「予測指標」は Google 独自のアルゴリズムによってユーザーの行動を予測します。
予測できる指標は、購入の可能性、離脱の可能性、予測収益といったマーケティング成果に直接影響する3つの指標です。
それぞれの指標の意味と利用条件について下記で説明します。
◆GA4 の予測指標
- 購入の可能性
過去 28 日間に操作を行ったユーザーによって、今後 7 日間以内に特定のコンバージョンイベントが記録される可能性を予測することができます。
- 離脱の可能性
過去 7 日間以内にアプリやサイトで操作を行ったユーザーが、今後 7 日間以内に操作を行わない可能性の予測をすることができます。
- 予測収益
過去 28 日間に操作を行ったユーザーが今後 28 日間に達成する全購入コンバージョンによって得られる総収益を予測します。
◆予測指標の使用条件
- 予測条件に当てはまるリピーターが過去28 日間のうちの 7 日間で 1,000 人以上、条件に当てはまらないリピーターが 1,000 人以上必要となります。
- モデルの品質が一定期間維持されていること。
- 購入の可能性と予測収益の各指標の両方を対象とするには、purchase とin_app_purchase のどちらか一つを設定する必要があります。
また purchase イベントを収集する場合は value と currency パラメータも収集する必要があります。
「予測指標」の活用方法
予測指標は後ほど説明する予測オーディエンスの作成と、データ探索の「ユーザーのライフタイム」で確認することができます。予測オーディエンスについては後述しますので、ここでは、データ探索でのレポート作成方法と活用方法を説明していきます。
レポートの作成手順は次の通りです。
① データ探索の「ユーザーのライフタイム」を選ぶ
② 予測指標をインポートする
ご紹介した 3 つの指標(購入の可能性、離脱の可能性、予測収益)が、それぞれパーセンタイルと平均で使うことができます。
パーセンタイルとは、データを小さい順に並べたとき、はじめから数えて全体の 100α%に位置する値を 100αパーセンタイルと言います。(0≤α≤1)例えば 1,000 人に基づくデータの購入の可能性が 90 パーセンタイルだった場合、購入の可能性が高いユーザー100 人(上位 10%のユーザー)に相当します。
③ 指標をセットしてレポートを作成する
上の図では行に「ユーザーの最初のメディア」、値に「購入の可能性:平均」「離脱の可能性:平均」「予測収益:平均」をセットしています。
予測指標を使ったレポートの活用例としましては、例えば、いずれかの指標に対して顕著な傾向のある流入元を可視化することで、今後のマーケティング施策の参考にすることができます。下の図では affiliate の購入の可能性が高く、email では離脱の可能性が低く、予測収益も高いことを読み取ることができます。
行:「ユーザーの最初のメディア」
値:「購入の可能性 平均」「離脱の可能性 平均」「予測収益 平均」を設定
この結果を元に、email(メルマガ)の流入を増やす施策を追加したり、収益性の低い流入には特別なオファーを出してみることを検討したりできるかもしれません。
「予測オーディエンス」とは
以前ブログでもご紹介しましたが、GA4 で新たに登場した「予測オーディエンス」機能では、特定の条件が満たされていれば自動で「予測オーディエンス」のリストが作成されます。特別な環境で、機械学習のモデルを作る必要がなく、GA4 の画面で設定ができます。
具体的には、GA4 側で定義された購入イベント(in_app_purchase/purchase/ecommerce_purchase)が実装された状態で一定以上のデータが蓄積されると、利用可能なオーディエンスリストが作成されます。下記のような 5 種類のユーザーを予測することができ、これらの「予測オーディエンス」は Google 広告と GA4 を連携すれば、広告配信に活用することが可能となります。
◆予測オーディエンス一覧
「予測オーディエンス」を用いることで、サイト内において価値の高いユーザーへのアプローチや、エンゲージメントの低いユーザーへのアプローチが可能となります。
詳しい設定方法については下記ブログで説明しておりますので、ぜひご覧ください。
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予測オーディエンスの活用方法
では具体的に、「予測オーディエンス」を広告施策でどのように活用することができるのか、いくつか活用例をご紹介いたします。
◆ 7 日以内に初回の購入を行う可能性が高いユーザー
- 初回購入限定を訴求する広告を配信する
- Google 広告の Optimized targeting のシードデータとして活用する
- 検索広告のモニタリングリストとしてキャンペーンに紐づけを行い、入札を強化することで競合他社への流出を防ぐ
- 類似リストの代替としてターゲティングする
◆ 7 日以内に購入する可能性が高い既存顧客
- 会員限定クーポンや新着商品を訴求する広告を配信し、サイトへの回帰を促す
- すでに認知されているため、認知施策からは除外する
- Google 広告の Optimized targeting のシードデータとして活用する
- 類似リストの代替としてターゲティングする
◆ 7日以内に離脱する可能性が高いユーザー
-
セールの事前告知訴求を行い、離脱を防ぐ
◆ 7 日以内に離脱する可能性が高い既存顧客
- 新着商品訴求やセールの事前告知広告を配信し、離脱を防ぐ
- 既存顧客限定の訴求をする広告を配信する
◆28 日以内に利用額上位になると予測されるユーザー
- セールや新着商品の訴求を行い、購買意欲を高める
- 統合セグメントを使ってインマーケットセグメントやアフィニティカテゴリ等の既存ターゲティングと組み合わせて、特定の商品カテゴリの購買意欲の高いユーザーへの配信を行う
- 複数購入で割引や〇〇円以上購入でプレゼントなどの訴求を行い、ついで買いを促す
- Google 広告の Optimized targeting のシードデータとして活用する
- 類似リストの代替としてターゲティングする
- コンバージョン値のルールを設定して重みづけを行い、価値の高いコンバージョン獲得を図る
まとめ
今回は「予測機能」について 、概要や数値の見方、活用方法についてご紹介させていただきました。
GA4 では、専門的な知識がなくとも Google のアルゴリズムを利用してユーザー行動の予測ができるようになりました。これらを広告施策に活用することで、コンバージョンの獲得効率の向上が見込まれます。
DAC では、複数の企業様に対して GA4 のデータ活用をご支援させていただいています。Web サイトの特性に合わせて GA4 をご活用いただけるよう、導入・運用等もサポートしています。GA4でお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。