DMPとは「データ・マネジメント・プラットフォーム」の略であり、マーケティングを支える大切な基盤となるものです。具体的な活用方法まで認識していなくても、名前はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、いざDMPを導入しようと思っても、「導入を検討しているが、なかなか進まない」「導入はしているものの、活用方法が分からない」といった状況に陥っているケースも少なくないようです。
この記事では、DMP導入や活用における企業の課題をまず紹介し、導入時につまずかないために押さえておくべきDMPの基本機能の理解から、活用を前提としたメリットまでを解説していきます。
名前だけは知っているが、ぼんやりとしたイメージしかないという方は、ぜひこの記事を、今後DMPを活用するうえでの参考にしてみてください。
DMPの導入や活用における課題
企業においてDMPの導入や活用について、どのような課題があるのでしょうか。ここでは、DMPを「未導入」「導入済み」「連携させるツールを先に導入済み」の3つの段階において、多く見られるケースをピックアップしていきます。
「未導入」の段階
・DMPの導入を検討しているが、なかなか進まない。
・DMPの必要性は理解しているが、活用したことによる成果がイメージできていない。
「導入済み」の段階
・DMPは既に導入しているが、実際の活用はできていない。
・担当者が変わったことで、DMPの活用方法を理解している人がいない。
連携させるツールを既に利用済み
・MA(マーケティングオートメーション)ツールやCRMツール、SFA(営業支援システム)、広告プラットフォームなどを利用しているが、データが少ないために十分な活用ができていない。
多少の違いはあるとはいえ、上記のような課題に直面している企業が多いのではないでしょうか。
このような状況に陥る理由のひとつは、やはり「DMPが何なのかよくわからない。理解できていない。」ところにあると思います。
次章で、DMPとはどのようなものなのか、基本機能についてしっかり理解していきましょう。
DMPとは?
まず『DMP』とは、散在するデータを収集・統合・分析し、各マーケティングツールへデータ連携させることで、マーケティング活動を支援するプラットフォームのことです。わかりやすく言うと、「膨大なデータを入れる巨大な箱」に「分析・統合」と「連携」機能が備わったイメージです。
データには、「自社の顧客データ」や「購買情報」などさまざまな種類があります。「資料請求」や「問い合わせ」といったデータも顧客を理解するうえで非常に大切です。
またオンライン上では、ユーザーの行動を記録した「ログデータ」や、リアル店舗のビジネスを行っている場合は、「POSデータ」などもあります。
これら複数のデータを一か所に集めることができる巨大な箱が『DMP』です。
次にデータの「分析・統合」についてです。『DMP』を導入することで、データの紐づけや抽出作業をデータアナリストやエンジニアを介さずに操作できるようになります。
『DMP』の役割のひとつであるセグメンテーション機能では、収集・統合したデータを様々な切り口で可視化し、特定の条件でユーザーを分類することができます。それらのデータを顧客分析や各種マーケティング施策に利用することが可能です。
最後に「連携」についてです。これは『DMP』で作成したセグメントデータ等を他マーケティングツールへ連携させる機能を指します。セグメントデータを広告プラットフォームやMAツールに連携して活用することで、メールのセグメント配信やユーザーに合わせた広告配信が可能になります。
次の章では、DMPの活用によってどういったことが可能になるのかをご紹介します。
DMPの活用方法
DMPはデータを入れる箱で、そのままだと何も価値を生み出しません。実際にデータを格納し、格納したデータを利用して活動をおこなう必要があります。では、DMPにはどのような活用方法があるのでしょうか。主な活用方法について紹介します。
DMPはマーケティングツールへ連携することで、「広告配信」「CRM」「コンテンツの出し分け」「分析」といった大きく分けて4つの活用が可能です。
昨今では、デジタル広告の多くがユーザーの興味関心や行動履歴などに基づいた配信であることは、ほとんどの方が認識されているでしょう。個々のユーザーに対して最適な配信を行うには、DMPで統計的に分析し、セグメント化したデータを利用します。
CRMの具体的な方法としては、まずメール配信が挙げられます。メールに関しても、ユーザーの興味関心に沿った配信を行うことで効果が大きく異なります。それを膨大なデータで精緻に行う基盤がDMPです。DMPで作成したセグメントを、MAツールなどのシナリオ配信に利用することが可能です。
DMPで作成したセグメントをマーケティングツールへ連携することでより高度なコンテンツの出し分けも可能になります。
DMPの膨大なデータを用いることで、そのユーザーがどういった属性か、過去からの行動を追うと次にどういったアクションを起こしそうか、そうした複合的な情報をもとに最適なコンテンツを最適なタイミングで出すことも実現できます。
さらに分析での活用では、Google アナリティクス や Adobe Analytics といったWebサイト解析ツールと連携できるDMPも多くあります。またDMPそのものに分析機能が付いているケースもあります。ただしオンライン上のデータを分析するだけではDMPの強みを活用できているとは言い切れません。POSなどの店舗データや販促チラシなどのオフラインデータも組み合わせることで、より多角的な分析が可能です。
こうしたさまざまなデータを組み合わせることでユーザー像がより鮮明になり、分析からペルソナ作成にまで活用することができるようになります。
ここまで、DMPの構造と活用範囲について説明してきましたが、イメージは掴めたでしょうか?実はDMPを活用するうえで、もうひとつ必ず押さえておくべきポイントがあります。それは、DMPには「プライベートDMP」と「パブリックDMP」の2種類があるということです。
2つの違いは何なのか、次章で詳しく説明します。
DMPの種類
同じDMPでありながら、「プライベート」と「パブリック」の違いによって何が変わるのでしょうか?その大きな違いは管理しているオーディエンスデータの種類にあります。
プライベートDMPで管理しているオーディエンスデータは「1stパーティデータ」と呼ばれるものです。いわゆる自社で蓄積・保有しているデータを指します。昨今では「CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)」とも呼ばれています。
顧客データや自サイトのアクセスログ、実際の購入履歴など、ほかの場所にはない自分たちだけのデータと理解しておくとよいでしょう。コーポレートサイトや商品、サービスサイトだけでなく、オウンドメディアで情報を発信している場合は、そこに記録されるユーザー行動も価値ある情報資産になります。
一方、パブリックDMPで管理しているオーディエンスデータは「3rdパーティデータ」と呼ばれるものです。これは企業が独自に蓄積・保有することが困難な1stパーティデータ以外の膨大なデータを指します。「他の所から提供されるデータが入ったDMP」と捉えるとわかりやすいかと思います。
たとえば、他のメディアサイトや、ポイントカードで取得したデモグラフィック属性、趣味嗜好といった情報は、パブリックDMPで提供されるデータの一例です。
このようにプライベートDMPとパブリックDMPの大きな違いは、1stパーティデータを保有しているか3rdパーティデータを保有しているかという点になります。
プライベートDMPとパブリックDMPの活用シーン
では、蓄積・保有するデータが違うと活用シーンはどのように異なるのでしょうか?プライベートDMPとパブリックDMPそれぞれの活用シーンについて説明します。
まずプライベートDMPでは、主に既存顧客のアップセルやクロスセルを通じたLTV向上に活用されるのが一般的です。LTV(Life Time Value)とは「顧客生涯価値」を意味し、顧客が自社と取引関係を継続する期間に、どれくらいの利益をもたらしているかを示します。LTVが高い企業ほど獲得した顧客から得られる利益が大きくなります。
一方、3rdパーティデータを蓄積・保有するパブリックDMPは、不特定多数のオーディエンスデータを活用した新規顧客獲得に活用されるのが一般的です。新規顧客獲得のためにリストを購入してアポイントを取る、といった事業展開をされている企業も多いでしょう。属性情報や趣向・関心といったデータが整理された3rdパーティデータを活用すれば、アプローチをかけるべきユーザーに対してよりピンポイントにマーケティングを展開できます。
さらに、1stパーティデータと3rdパーティデータの両方のデータを活用・連携できる環境を構築することで新規顧客の獲得から既存顧客のLTV向上までフルファネルで一気通貫の施策を実現し、企業のマーケティング活動を最適化します。
このようにプライベートDMPとパブリックDMPは活用シーンや期待される効果が異なるのですが、よりその真価を発揮するのは1stパーティデータと3rdパーティデータの2つを統合したときです。これらを統合管理することで、今まで単体でのシステム導入では実現し得なかったデータ活用を促進します。
AudienceOne®のご紹介
AudienceOne®はDACが提供するDMPです。
1億以上のモバイル広告IDなどの膨大な3rdパーティデータと、多様なデータパートナーから提供された専門領域データ(2ndパーティデータ)を保有しており、それらのデータを解析して高精度なセグメントデータを提供します。
AudienceOne®が保有する膨大なデータを、豊富な連携チャネルに活用することで、「新規顧客の獲得」から「既存顧客へのLTV向上」までを一気通貫で実現できます。
DMP導入を検討している企業はぜひご注目ください。