商圏分析とは?そのやり方と成功ポイント

 2019.01.29  山岡 希望

商圏分析とは?そのやり方と成功ポイント

「商圏分析」というと店舗開発や実店舗での集客のための戦略だと考えてはいませんでしょうか?

商圏とはある商業施設が影響を及ぼす地理的な範囲を指す言葉です。商業施設というのは必ずしも実店舗であるとは限らないのです。たとえば実店舗を持たないBtoB企業にも商圏分析は必要ですし、それによって営業効率が上がることもあります。

今回は、商圏分析の基本とやり方、成功のポイントまでをご紹介します。

商圏分析とは?

商圏分析とは、会社や実店舗が商取引を行う地理的範囲の中で、さまざまなデータを定量的に分析して販売戦略や店舗開発に利用するための分析です。
たとえば、国勢調査データを集計すれば、半径●キロメートル以内の人口数と世帯数を知ることができます。それに応じて販売戦略を練ったり、出店の可否を決定したりと、さまざまな戦略に応用します。

trading-area-analysis_1(出典:政府統計の総合窓口 e-Stat

商圏分析はなぜ大切か

「営業効率が悪く成約がなかなか取れない…」「店舗経営がうまくいっていない…」このような課題をかかえている企業では、得てして商圏分析に取り組んでいない傾向があります。もちろん成約が取れないことや経営がうまくいかないことの原因がすべて商圏分析にあるわけではありません。しかし、商圏分析に取り組んでいないことが原因の一つになっている可能性は捨てられないでしょう。

では、なぜ商圏分析が販売戦略や店舗経営などに大切なのか?
その理由は健康診断に例えると分かりやすいかと思います。

健康診断を定期的にしておくと、体の各部の健康状態を常に検知することができます。
たとえば、肝臓に問題があれば早期にそれを発見し、治療することで深刻な事態を免れるでしょう。もし、健康診断を受けていなければ、お酒の飲み過ぎなどによって発症した肝機能障害が、最終的には肝硬変など怖い病気に発展しているかもしれません。肝臓は「沈黙の臓器」と言われていますから、深刻な病気が発症しても気づきづらいというのがさらに怖いところです。

商圏分析に取り組んでいないことは定期的な健康診断を行っていないことと同じです。
会社や店舗を取り巻く商圏について把握していないと、ある日突然経営が行き詰まるといったケースも珍しくありません。商圏に関する情報は商圏分析を行うことでしか知ることができないので、商圏分析に取り組まないことは病気の発症に気づかない状態と同じなのです。

営業に商圏分析が大切な理由とは

営業戦略の一つとして商圏分析に取り組んでいる企業は、店舗開発のために商圏分析に取り組んでいる企業よりも圧倒的に少ないように感じます。
しかし、営業こそ商圏分析で営業効率を上げ生産性を向上することが大切だと考えます。

たとえば、担当エリアで営業範囲を区切っている企業では、各担当者がエリアごとに効率良く営業に回ることが重要です。営業は効率良く多くの営業先を回ることで成約率が高まるのは確かです。
1日の営業時間は限られていますから、その時間の中でどれほど多くの営業先を回れるかがカギになります。1日3件の営業先を回るセールスマンと、1日4件の営業先を回るセールスマンの差は長期目線で見えれば圧倒的なものになります。後者のセールスマンの方が1年で200件以上も多く営業先を回れるからです。

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ちょっとした効率化が長期的に大きな成果をもたらします。
だからこそ営業にも商圏分析が必要であり、積極的に取り組むことで営業効率が上がり、それに応じて成約率も上がっていくのです。

trading-area-analysis_2データ提供:技研商事インターナショナル株式会社

商圏分析のやり方

商圏分析には特定のやり方があります。
ここでは、商圏分析の方法について簡単にご紹介します。

① 顧客情報を収集する

たとえば,

BtoCの実店舗をもつ企業なら顧客の居住情報や属性情報(年齢、性別、世帯の有無など)を収集することが大切です。商圏範囲内の人口や世帯数に関しては国勢調査データを活用すれば簡単に把握できますが、居住情報や属性情報は独自に収集しないと分かりません。
ポイントカードなどを利用して顧客情報を収集しましょう。200程度の顧客情報があれば商圏分析を始められます。

また、BtoB企業であれば、まず商圏にどれくらいの企業が存在しているかを把握することが大切です。そのためには通常、帝国データバンクなどのデータベースを利用して商圏の企業を絞り込みます。さらに、対象となる企業がどこの会社と取引を行っているかが確認できるので、自社の見込み客になる可能性があるかどうかをさまざまな角度から判断できます。

②効率良いルートを考える

BtoC企業の場合は、商圏を絞って顧客情報をマッピングしていきます。どの地域に顧客が集中しているのか、などを把握することで経営戦略に活かすことができます。

BtoB企業であれば、商圏の顧客情報を収集し、ビジネスに発展しそうな企業に絞って効率良く営業できるルートを考えます。もちろんその前に、企業にアポイントを取ることが大切なので、電話やレターなどでアポイントを取りましょう。単にアポイントを取るためではなく、企業にとって有益な情報を提供する姿勢で営業をかけるとアポイントが取りやすくなります。

商圏分析の成功ポイント

最も大切なポイントは商圏分析を継続的に行うことです。
先ほど商圏分析を健康診断で例えましたが、健康診断はやはり定期的に行い常に体について知ることが大切です。
商圏分析も同じように定期的に行わないと成功しません。その理由は2つあります。

一つは、商圏分析を定期的に行うことで常に商圏の変化を知ることができます。
商圏の顧客情報は流動的なので、常に把握してそれに応じた経営戦略を立てる必要があります。

もう一つの理由は、より効率的で精度の高い分析ができるようになります。商圏分析の精度を上げるためには定期的な情報収集を行い、データが貯まることで精度が上がります。また、PDCAサイクルを回し、分析手法を常に見直して最適な方法で商圏分析を行うことで、より効果的な分析ができるようになります。

手間の多い商圏分析を継続的に行うためには、効率的に分析ができるツールが必要です。
DACが提供するDMP「AudienceOne®」は、月間4.8億ユニークブラウザと1億超のモバイル広告ID、2兆レコード以上という膨大なデータを保有するシステムで、このデータを利用することで国勢調査データだけではなく、約1,400種類の興味関心データなどを瞬時に視覚化し、広告などのマーケティング施策への活用が可能です。

trading-area-analysis_3例:AudienceOne® 多角形分析×店舗分析(データ提供:技研商事インターナショナル株式会社)

これから商圏分析に取り組みたい、あるいは現在の商圏分析プロセスを改善したいという企業はこれらのシステムによる商圏分析をぜひご検討ください。

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この記事の執筆者

山岡 希望

ECショップの運営、メディアレップでネット広告の運用、開発を経て、2014年にDACへ入社。アドサーバの開発、カスタマーサポートのマネージャーに携わる。2017年にマーケティング領域を担当し、自社ソリューションのサイト立ち上げや自社セミナーの開催などを行う。その後セールス領域の支援としてSFA導入を担当し、DACソリューションのデータドリブンマーケティング&セールスの基盤を管理、運用する。
プライベートでは、少年野球のコーチをボランティアで5年携わっており、地域の子供の身体と心の育成に貢献。 趣味の一環で、自家製味噌を作ったり、家庭菜園で野菜を育てている。

ECショップの運営、メディアレップでネット広告の運用、開...

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