昨今の小売業界においては、販売チャネルが増え続けていることによって競争が激化し、様々な課題が叫ばれるようになりました。
今回の記事では、小売業界における課題を紐解きつつ、その解決策として有効なCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)というシステムの活用方法について解説します。
小売業界の変化と課題
昨今の小売業界では、インターネット発達以前と比べ、販売チャネルが急激に増加していることが見受けられます。以前は実店舗での販売が主流だったものの、インターネットの発達によって楽天市場やAmazonなどといった、オンラインで商品を購入できるECプラットフォームも一般的になりました。
また最近では、BASEやSTORESなどのECサイト構築ASPの台頭によって、誰でも簡単にECサイトを作れるようになったことから、さらに販売チャネルが増えています。小売業界では販売チャネルの増加に伴い、以下の3つのような課題が発生しました。
課題1:顧客接点の複雑化によって、データが分断されてしまう
課題2:コミュニケーション施策の単発化によって、ロイヤリティが向上できない
課題3:増加した顧客接点に対して、適切に運用管理するナレッジやリソースが足りない
小売業界におけるCDP需要
CDPとは1stパーティーデータを、収集・統合・分析し、様々な施策につなげることができるシステムです。主な役割としては、以下のようなものが挙げられます。
- 自社の顧客データを収集・統合する
- 顧客ステータスを把握し、1to1コミュニケーションを行う
- 自社データを機械学習にかけ需要予測を行う
顧客接点の増加に伴なってさまざまな課題を抱えている小売業界においても、CDPの需要が高まっております。
CDPは適切なステップで活用することによって、小売業界が抱える3つの課題に対応することが可能です。次章から、CDPを効果的に活用する理想のステップをご紹介します。
参考:CDPとは?
Treasure Data CDPとは?
【第一弾】いまさら聞けない『CDP』とは?|その種類や活用方法まで詳しく解説!
CDPの理想的な活用ステップ
小売業界が抱える3つの課題を紐解きつつ、それらを解決に導くCDPの理想的な活用ステップをご紹介します。
課題1:顧客接点の複雑化によって、データが分断されてしまう
小売業界において、店舗やECサイト、SNSなどの接点において顧客データが別々のデータベースで保有されているため、顧客像が不鮮明な状態になっています。そのためデータの統合を行い、顧客像を明確にする必要があります。
CDPの活用ステップ①
CDPを用いて分断された全顧客接点のデータ統合を行います。店舗やECサイト、SNSなど顧客接点ごとに散在していたデータをCDPに格納・統合し、一元管理を行うことで顧客像を鮮明にすることができます。
課題2:コミュニケーション施策の単発化によって、ロイヤリティが向上できない
顧客に対してのアプローチが事業部や施策ごとに行われることで、継続的なコミュニケーションが取れていないことが原因となっています。そのため、最適化されたコミュニケーションを継続的に実行してLTVを向上させる必要があります。
CDPの活用ステップ②
CDPを用いて顧客を分析し、顧客ごとのステータスに合わせたコミュニケーション施策を行います。
例えば、認知段階の顧客に対しては、データを活用した効率的な広告配信、優良顧客段階の顧客に対してはロイヤリティに応じた特別オファーを行うなど、顧客ステータスに合わせた1to1コミュニケーションを行います。このようなコミュニケーション施策を行うことでロイヤリティの向上を期待することができます。
課題3:増加した顧客接点に対して、適切に運用管理するナレッジやリソースが足りない
ECサイトや各種SNSなど顧客接点が増加したことで、それぞれチャネルでの施策を実行や、運用管理に多くの稼動が必要とされる一方で、社内リソースでは手が回らないといった事態が起こっています。
CDPの活用ステップ③
CDPを活用することで、運用の最適化を行います。需要予測や機会学習などのCDPの機能を最大限活用して業務の自動化を行い、運用工数を削減することで社内のリソース・ナレッジ不足を解消します。
このように、CDPの理想的な活用ステップを踏むことは、小売業界の課題解決に向けた的確なアプローチになるのです。
まとめ
今回の記事では、小売業界が抱える課題と、CDPの理想的な活用ステップについてお話ししました。
小売業界は販売チャネルの増加に伴い、顧客データの煩雑化や各種コミュケーション施策の分断、そして施策運用リソースの不足といった、さまざまな課題に直面します。これに対して、データの収集・統合・分析を得意とするCDPというシステムの活用が有効となります。
以下、3点の理想的なCDPの活用ステップを押さえることで、小売業界の抱える課題を解決することが可能です。
- 顧客接点ごとに分断されたデータの統合
- 顧客ステータスに合わせた1to1コミュニケーション
- CDPの業務自動化よる、運用ナレッジやリソースの補填
次回の記事では、LINEとCDPを掛け合わせた具体的なユースケースについて解説します。今回同様、小売業界の課題に焦点を当ててつつ、CDPの理想的な活用ステップを踏まえた解決策を解説しますので、是非合わせてご確認ください。
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