解約防止?新規獲得?通信キャリアが実施するべきマーケティング施策

 2024.04.10  森村 早紀

通信キャリアとは、主にインターネットを通じたやり取りに必要な通信サービスを提供する事業者のことを指します。
例えば、インターネット回線や電話回線、携帯電話やスマートフォン等の通信サービス
を提供している企業が該当します。
国内ではau(KDDI)、NTTグループ、ソフトバンク、楽天モバイルの4社を指して、キャリアと呼ぶこともあります。

本記事では、これら4社のキャリアに限らず、Wi-Fiなどのインターネット回線や電話回線、携帯電話やスマートフォン等の通信サービスを提供している企業において実施するべきマーケティング施策についてご紹介します。

通信キャリアの現状とマーケティング課題

昨今、インターネットをはじめとする通信サービスは日常生活になくてはならないライフラインとなっています。
そのため、通信サービスを提供する企業が増えており、通信キャリアの各社でも様々なプランを提供しています。

生活者としては利用する通信サービスの選択肢が多くある状態のため、より自分に合うサービスを探して乗り換えることも容易になってきています。

しかし、通信キャリアにとっては、他社サービスに乗り換えられないように、他社が提供するサービスとの差別化を図らなくてはいけません。
また、多くのサービスの中から自社サービスを選んでもらえるように、魅力的なプランを提供していく必要があります。


こうした状況の通信キャリアでは、売上拡大のためにどのようなマーケティング施策が必要になるのでしょうか。
マーケティング施策の方向性としては「新規顧客獲得」「既存顧客の解約防止」「既存顧客のアップセル」の3つが考えられます。

新規顧客獲得

新たなサービス利用者=ユーザーを獲得するための施策。
他社からの乗り換えキャンペーンの訴求や、家族割・学生割といったターゲットに沿ったプランの作成、新規で契約したユーザー向けの特典の用意、といった施策が該当する。

既存顧客への解約防止施策

既に自社サービスを利用しているユーザーに対して、継続的に利用してもらうための施策。
長期利用者に対するポイント特典や、継続利用に対する特典の提供などが該当する。

既存顧客へのアップセル施策

既に自社サービスを利用しているユーザーに対して、オプションサービスや上位プランの利用を促す施策。
より多くの通信量が利用できる上位プランの訴求や、キャリア通信サービス利用者に対するWi-Fiサービスの追加契約の訴求などが該当する。

通信キャリアが特に行うべきマーケティング施策

「新規顧客獲得」「既存顧客の解約防止」「既存顧客のアップセル」の大きく3つの方向性があるとお伝えしましたが、通信キャリアが特に行うべきマーケティング施策は、ずばり既存顧客への解約防止施策です。

皆さんは「1:5」の法則をご存知でしょうか。
この法則は、既存顧客にサービスを販売するために必要なコストを1とすると、新規顧客獲得に必要なコストはその5倍となることを示す法則です。

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この法則から、既存顧客に継続的にサービスを利用してもらえるようにする、つまり解約防止の施策を行っていく方が、新規顧客の獲得施策を行うよりも、必要なコストが少ない=利益(収益ーコスト)を生みやすい、と考えられるわけです。

では、どうすれば既存顧客の解約を防止できるのでしょうか。

解約防止のポイント

約防止において、非常に重要なことは施策を行う「タイミング」です。

解約手続きを行なっているユーザーに対して、解約を考え直してもらえるような特典やキャンペーンを訴求しているケースをよく見かけますが、これは効果的とは言えません。
なぜなら、ユーザーが解約手続きを行っているタイミングは、次に利用する他社サービスとの比較検討が済んだタイミングであり、解約の意思が固い状態と言えるからです。

裏を返せば、「引っ越し予定のため他社サービスの検討をはじめた」タイミングや、「利用中のサービスに不満が募りはじめ、他社のサービスを調べはじめた」「他社サービスに興味を持ったが、詳細はまだ調べていない」タイミングなどであれば、まだ解約の意思が固まっていないので、利用を続けてもらえる可能性があります。

解約防止

つまり、解約を検討し始めるタイミング=解約予兆を捉えて特典やキャンペーンを訴求できれば、解約を阻止できる可能性が上がるのです。

しかし、契約時の情報(性別、年齢、居住地など)や、利用しているサービス内容、購入年月といったデータ、またはサービス購入時のアンケートから解約予兆を捉えようとしても、参照する情報の量が少ない上に、情報が古くなっている可能性もあるため、タイミングを把握するのは難しいでしょう。

では、どうすればユーザーの解約予兆を捉えることができるのでしょうか。

解約予兆を捉えるために必要なデータ

解約予兆を捉えるには、他社サービスへの乗り換えのきっかけとなる情報が必要です。
例えば、他社のサービスへの関心度合いや、引っ越しなどのライフステージの変化といったデータがあれば、他社サービスの乗り換えを検討するきっかけ、つまり解約予兆を捉えることができます。

こうしたデータは、なかなか自社で収集できるものではありませんが、「外部データ」を活用することで必要な情報を得ることができます。

外部データとは、ユーザーの自社以外の行動から得られる興味関心や属性情報などのデータを指します。

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こうした外部データは3rdパーティデータを保有するDMPなどから得ることができますが、ここでは、DACが提供しているDMP「AudienceOne®」が保有する外部データをご紹介します。

AudienceOne®では「属性データ」「興味関⼼データ」など幅広い種類のデータを用意しており、さらに「キーワード拡張機能」としてサービス名や企業名といった任意のキーワードを登録することにより、そのキーワードに興味のあるユーザーを捉えることが可能です。

例えば、AudienceOne®では、引っ越し予定であるユーザーを捉えたデータや、自社と競合するサービス名や企業名のキーワードに興味関心があるデータを捉えることができます。こうしたデータを自社データに付与することで、解約予兆が高いユーザーを把握し、解約される前にアプローチすることができます。挿絵-3

このように、外部データを自社データに掛け合わせることによって、これまで捉えられなかったユーザーの興味関心やライフスタイルの変化を把握できるため、解約の検討タイミングに合わせた特典やキャンペーンの訴求が可能となり、効果的な解約防止施策を実現できると言えるでしょう。

関連資料

AudienceOne®が保有するデータを自社データに提供するサービスは、AudienceOne Discovery®としてご提供しています。

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AudienceOne®︎の外部データを活用したユースケース

ここからは、実際にAudienceOne®のデータを活用したユースケースをご紹介します。

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(1)動画配信サービスを利用する際の通信料金がお得になる新プランを作成したA社

課題:競合他社との差別化を目的に、動画配信サービスを利用する際の通信料金がお得になる新プランを作成した。しかし、自社データからはユーザーが利用中のプランしか把握できず、新プランに魅力を感じてくれるユーザーを判別することができなかった。

対応:自社データに対して、AudienceOne®︎の興味関心データを付与したところ、ドラマ・映画などのエンタメ関心が高いユーザーを捕捉できた。新プランを利用しておらず、且つエンタメ関心が高いユーザーに絞って新プランを訴求。

結果エンタメ関心が高い=新プランと親和性の高いユーザーの、新プランへの変更が増加。ユーザーの満足度が上がったことで、継続的な利用に繋がった。

 

(2)新年度を迎えるタイミングで新生活応援キャンペーンを実施したB社

課題:新生活に向けて固定費を見直すユーザーの解約を防ぐため、新生活応援キャンペーンを実施した。しかし、実際に新しい生活環境を迎えるユーザーを判別することができず、自社で保有する顧客データの年齢から推測することしかできなかった。

対応:自社データに対して、AudienceOne®︎のキーワード拡張機能による「物件検索サービス」や「引越業者」への関心データを付与。引越しの準備をしている人を対象に、新生活応援キャンペーンを訴求。

結果:実際に引越し準備を進めているタイミングに合わせてキャンペーン訴求を行ったことで、新生活応援キャンペーンへの加入が決定。他社サービスへの比較検討を行われなかったことで、結果として解約防止に繋がった。

 

(3)継続利用者に対する優遇を行うキャンペーンを実施したC社

課題:自社サービス利用者が他社サービスへ切り替えることを防ぐため、継続利用者の月額料金が安くなる、継続利用感謝キャンペーンを実施した。解約手続きを行うユーザーに対して訴求を行なったものの、解約を考え直してもらうには至らなかった。

対応:AudienceOne®︎のキーワード拡張機能によって「D社(競合他社名)」や「E社(競合他社名)」への関心データを付与。他社サービスへの関心が高まっているユーザーを捉えて、メールマガジンなどで
継続利用感謝キャンペーンを訴求

結果:他社サービスへの関心を持ったユーザーが、解約意思を固める前にキャンペーンの案内ができた。他社サービスとの比較検討を行う際に、継続利用感謝キャンペーンも比較材料となり、結果として利用の継続に繋がった。

 

まとめ

競合他社企業が多く存在する通信キャリアでは、いかに既存顧客に継続利用をしてもらうかが重要になります。
そして、解約せずに継続的に利用してもらうためには、ユーザーが解約意思を固める前のタイミングでコミュニケーションをとる施策を行う必要があります。

自社データを用いて解約予兆を捉えることが難しい場合、外部データを活用することが非常に有効です。
自社データだけでは捉えることができなかった
ユーザーの興味関心やライフスタイルの変化、他社関心を捉えることができ、最適なタイミングでのアプローチが可能になります。

DACでは、企業の顧客データを有効的に活用する支援や、すでにお持ちの顧客データをリッチ化するために外部データを付与するサービスも提供しておりますので、ご興味ございましたらぜひお問い合わせください。

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この記事の執筆者

森村 早紀

2022年にDACへ入社。 ソリューションビジネス本部 データソリューション局 ソリューション推進部に所属。AudienceOne Discovery®︎の営業企画を担当し、BtoB向け、BtoC向けの生活者行動データの活用を推進。

2022年にDACへ入社。 ソリューションビジネス本部 ...

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