データマーケティングとは、収集した顧客データをもとにサービス訴求を行う手法です。
顧客ごとに最適なアプローチを実現できるため、データマーケティングを行う企業が多くなっています。
今回は金融業界にフォーカスして、データマーケティングの重要性や課題、実施イメージを解説します。
金融業界ではデータマーケティングがより重要
金融業界では、お金に関するさまざまな事業を行う会社が、お金の貸し借りだけでなく、金融サービスや金融商品を提供しています。
顧客へ提供するサービスは「金融商品」と一口に言っても、株式や債券、保険、クレジットカードなど安全に運用できるものからハイリスクハイリターンなものまで、さまざまな特徴を持った商品があります。
金融商品が多様なものだからこそ、顧客が商品を選ぶ目的や条件はそれぞれのライフステージによって変化しやすく、顧客個別に合わせたアプローチをする必要があります。
例えば、出産を控えたタイミングにある顧客に保険を案内する場合、子供の医療保険や保護者の生命保険の見直し、学費の備えとして学資保険などの商品のニーズが高いと考えられます。
逆に、顧客のニーズに沿わない商品を訴求し続けることは顧客体験の低下につながってしまうため、顧客データをもとに的確なアプローチを行う「データマーケティング」がほぼ必須となるのです。
金融業界における顧客データ収集・活用の課題
データマーケティングを行うためには、顧客情報や購買データなどの多岐に渡るデータが必要になります。
こうしたデータは、顧客が行う会員登録や購買行動に伴って収集することができます。
金融業界においては、名前や住所などの一般的な情報に加えて、国籍や勤務先などといった詳細なデータを収集・保有しています。
しかし詳細な顧客データであるがゆえに取り扱いが厳しく、実際にマーケティング活動に活用可能なデータは限定的であるとも言えます。
また詳細なデータは、更新にあたって公的書類の提出など手間がかかることも多く、更新するべき内容があっても申告されない場合もあります。
もちろん現場の営業担当から顧客へ直接ヒアリングすることもできるかもしれませんが、データとして全てをリアルタイムに蓄積していくのは、やはり難しいのではないでしょうか。
そのため金融業界の企業では、詳細な顧客データを持っているはずなのに、データマーケティングに活用できるデータは不足してしまう、という状況が発生します。
顧客データが足りない時の解決策
データが足りないとき、データを「足す」ことができれば、解決策の一つになります。
自社で取得できる顧客データに対して、自社外のWeb行動から推定される属性情報や興味関心情報を追加することができれば、顧客像をより明確にすることが可能です。
具体的には、企業様がお持ちの会員情報などの1stパーティデータと、自社では収集することができない3rdパーティデータの連携を行います。
これによって、顧客がどういった内容に関心を持っているのか、どういったキーワードで検索しているのかなどといった情報を把握することができ、最適なアプローチが可能になります。
例えばWebサイト上で「NISA」と検索している顧客は、NISAに興味があることがわかるので、NISA口座の案内やNISA口座で購入可能な株や投資信託の訴求が刺さります。
このように顧客のWebサイト上の行動から推計する自社外のデータを「外部データ」と呼びます。
金融業界の外部データ活用例
ここからは、具体的な外部データの活用方法について、保険会社Aを例にご紹介します。
背景
- 保険会社Aでは、既存顧客と継続的に接点を持つため、あらゆるチャネルを通じた情報発信をしている
- 各顧客がいま求めている保険商品はわからないため、全配信で情報発信を行なっている
課題
- 開封率が徐々に低下してきている
- お客様窓口に配信が多い/しつこいという相談が寄せられている
解決アプローチ
保険会社Aは複数の保険商品を取り扱っているため、そのいずれかを契約している顧客の情報を持っています。
このような既存顧客の情報に対して、外部データとして興味関心の情報を付与します。
興味関心の情報から顧客のライフイベント・ライフステージの変化を追うことができれば、顧客の状況に合った商品を訴求できるようになります。
例えば「出産」への関心が高まっていると分かった顧客には、親和性の高い出産保険を訴求できるわけです。
また、付与した外部データによって接触頻度の高いチャネルを把握することも可能です。
これによって、「しつこい」と思われない最適なルートでの配信が可能になります。
このように顧客の欲しい情報を適切なタイミング、チャネルで訴求することで、顧客体験を損なわないアプローチを実現できます。
今回ご説明したような購入や契約を検討するタイミングだけではなく、解約を検討するタイミングにおいても、外部データの活用が有効です。
他社商品への乗り換えや、解約の意思決定前のタイミングを捉えて既存契約の見直しフォロー施策を行うことで、既存顧客の解約を防ぐことができます。
まとめ
外部データを活用したデータマーケティングによって、顧客理解を深め、個別最適なコミュニケーションを実現することができます。
マーケティングに活用できる顧客データを収集しづらい金融業界だからこそ、うまく外部データを活用し、顧客の嗜好やライフステージ転換期を捉えたアプローチを実現しましょう。
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