※Googleアナリティクスの最新バージョン(Googleアナリティクス 4)に関する記事はこちら
昨今、Google アナリティクス無償版をご導入いただいている方は多くいらっしゃるかと思いますが、有償版であるGoogle アナリティクス360はご存じでしょうか。同じGoogle アナリティクスでも、データの制限や利用できる機能など、無償版と有償版では異なる点が多くあります。
本記事では有償版Google アナリティクスについて、無償版との違いをメインにご紹介します。
「Google アナリティクス 360」とは
Google アナリティクス360は、無償版 Google アナリティクスよりもさらに豊富な機能を備えた有償版のGoogleアナリティクスです。
他サービスとの連携等含め大幅に機能が拡大されていることから、無償版の機能では物足りないような大規模サイト向けのツールともいえます。
また、旧名称は「Google アナリティクスプレミアム」で、2016年に名称が変更となり「Google アナリティクス 360」となりました。
「無償版」と「有償版」の違い
それでは早速、比較表を基に無償版/有償版の違いをご紹介します。
無償版と有償版で大きく異なる点としては、カスタムディメンションやカスタム指標の数の違いです。無償版が20個のところ有償版では200個に増えていることで、サイト特有でカスタムできる計測項目が大幅に増えていることがわかります。
また、サポートについては、ツールの料金内で問い合わせ窓口や教育トレーニングなどのサポートを受けることが可能です。(Google アナリティクス360のリセラーからのサポートとなります。)
さらに、比較表を見ていただくと、Googleアナリティクス360は無償版に比べ、大きく機能の拡充やデータの制限緩和がされていることがわかります。
次章では、具体的にどのような機能拡充が発生するのかご説明します。
「Google アナリティクス 360」の特徴
では、有償版は無償版と比較してどのような機能が拡充されているのか、改めてGoogle アナリティクス 360の特徴を大きく4つに分けてご紹介します。
1.処理可能なヒット数がアップ:無制限
無償版のGoogle アナリティクスでは、1つのプロパティに対して1ヶ月あたり1,000万ヒットが上限となっており、この上限を超えるとアラートが表示され、レポートへのアクセスができなくなる可能性があります。しかし、有償版であるGoogle アナリティクス 360は、ヒット数が無制限となっております。(ただし、1プロパティ20億ヒットを超えると処理遅延の可能性がありますのでご留意ください。)
このようなヒット数制限の違いを見ても、ヒット数が多い大規模サイトには有償版Google アナリティクスが適しているといえます。
※ヒット数=Google アナリティクスの計測で通信が発生する全ての回数のため、ページビューだけではなくクリック等のイベントの通信も全て含まれます。
2. データ更新頻度が早くなる:4時間以内
無償版Google アナリティクスでは24~48時間程度で集計結果が反映される形となっていますが、有償版Google アナリティクス 360は4時間以内には集計されるようになるので、より素早く分析を進めることが可能になります。
3. サンプリング処理がされにくい:非サンプリングレポート
サンプリングとは、実数値ではなく一部のデータを参考とし全体の値を推計で算出することです。
なぜそのようなサンプリングが必要かというと、大量のデータを処理するには時間要しますが、ある程度の母数がたまった時点でサンプリングをかけることにより、ユーザーは時間遅延のストレスなくレポートを閲覧することができます。
ここからはサンプリングの対象となる範囲についてですが、無償版では50万セッションを超えるとサンプリング対象となります。一方、有償版のGoogle アナリティクス 360では1億セッションを超えた場合にのみサンプリングされますので、より実数値に近い形で分析することが可能です。
またGoogle アナリティクス 360では、サンプリングされている場合でも非サンプリングレポートが抽出可能です。下記キャプチャのように管理画面上のエクスポートボタンから容易に選択が可能です。
4. 他サービスとの連携強化:ツール連携
無償版でもGoolge 広告やGoogle Search Consoleとの連携は可能ですが、有償版のGoogle アナリティクス 360はそれ以外に下記のような様々なツールとの連携が可能になります。
- ディスプレイ&ビデオ360
- 検索広告360
- キャンペーンマネージャー
- BigQuery
- Salesforce Marketing Cloud 等
このようなツールとの連携ができることで、オウンドサイト内のデータだけではなく、様々なデータと掛け合わせることが可能になり、分析の幅も広げることができます。
ここまで、無償版と有償版の違いやGoogle アナリティクス 360の特徴についてご説明しました。Google アナリティクス 360の基本的な機能はご理解いただいたかと思いますが、実際の活用方法をイメージするのは難しいかと思います。
そこで、次章ではGoogle アナリティクス 360を用いた弊社の過去取り組みを元に、具体的な活用イメージをご紹介いたします。
「Google アナリティクス 360」事例紹介
本章では、Google アナリティクス 360だからこそ実現できた事例を、導入したきっかけや最終的な効果/改善された点と併せていくつかご紹介いたします。
1.【自動車業界①】クエリタイムインポート、BQエクスポート
・どんな課題があってGoogle アナリティクス 360を導入したのか
デジタルメディア(広告・オウンドサイト)が事業KPIである「来店」に効果にどれだけ貢献しているか効果が見えないため。
・施策内容
Google アナリティクス 360のデータをBigQueryに連携し、CRMデータを掛け合わせた機械学習モデルを構築。予測データをクエリタイムインポートでGoogle アナリティクス 360に戻し、セグメント作成・広告配信を実現。
・その施策によりどんな効果/改善があったか
来店を指標とした広告メニューの評価、どういったユーザーのサイト内行動が来店に貢献しているのかを分析。
今まで見えなかった施策の来店効果の可視化に成功。分析結果をもとにサイト来訪者のうち、将来来店する可能性が高いユーザーの予測・予測ユーザーへの広告配信を実現し、より角度の高い見込み顧客へのアプローチに成功。
2.【自動車業界②】多くのカスタムディメンション利用
・どんな課題があってGoogleアナリティクス360を導入したのか
ヒット上限数に達してしまっており、無償版より詳細な分析をしたいため。
・施策内容
無償版ではカスタムディメンションが20個までしか利用できず分析内容が限られていたが、有償版Google アナリティクス 360を導入することによって70個以上のカスタムディメンションを利用でき、より詳細な分析を実現。
・その施策によりどんな効果/改善があったか
メーカー・車種・年式・走行距離など、サイト固有のディメンションを多く計測することで、よりサイトコンテンツに合わせた深堀分析が可能になった。
3.【金融業界】キャンペーンマネージャー連携
・どんな課題があってGoogleアナリティクス360を導入したのか
広告だけではなく、自然検索などの全ての流入元を含めた統合アトリビューション分析を行いたいため。
・施策内容
キャンペーンマネージャーで計測した広告接触データとGoogle アナリティクス 360のデータを組み合わせたアトリビューション分析の実施により、広告のImp効果の可視化を実現。
・その施策によりどんな効果/改善があったか
全体横断で効果的なユーザーのコンバージョンに至るまでの経由を可視化。今まで獲得にあまり貢献していないと判断していた、認知系施策のCVへの貢献度を把握することでCV獲得最大化を目的とした認知系施策と獲得施策の統合プランニングが実現した。
まとめ
今回は、Google アナリティクスの無償版と有償版の違い、Google アナリティクス 360の特徴、活用イメージについてご紹介いたしました。同じGoogle アナリティクスでも、無償版と有償版では利用可能な機能等に大きく違いがあることがわかると思います。
既にGoogle アナリティクス無償版をご導入されていたり、新たにGoogle アナリティクスのご導入をお考えになられている場合、一度そのサイトの規模感や実現したい分析は無償版の機能で足りているのか、有償版を導入すべきかといった点を改めてご検討いただけるとよいかと思います。
ご検討にあたりご不明な点などございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。