※2024年4月25日更新
Googleによる3rdパーティクッキー廃止時期について、発表に基づき更新をしております。
※2024年7月25日更新
Googleによる3rdパーティクッキー廃止に関するこれまでの方針を転換するとした発表に基づき更新をしております。
「インターネット広告における規制」「ポストクッキー」「ITP対策」…。
言葉は聞いたことがあるものの、あまり内容について理解できていない方や今後具体的にどう対応していけばよいのか不安に思われている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、従来の広告施策に大きな影響をもたらしている規制と、その規制の1つであるITP(Intelligent Tracking Prevention)への有効な対策であるGoogleサイトワイドタグ・サーバーサイドタグについて解説していきます。
従来の広告施策
インターネット広告のメリットである効果測定やターゲットの選定は、クッキーを用いることで実現しています。クッキーとは、閲覧したWebサイトのサーバー、あるいはブラウザ上から一時的にスマートフォンやPC内にセットされる情報のことです。SNSのログインページで一度入力したIDとパスワードが記憶されたり、ショッピングサイトで以前カートに入れたものが残っていたりと、クッキーはWebのアクセスや操作を便利にし、さまざまなサービス提供に役立っています。
クッキーは有効なドメイン属性によって以下の2種類に分けられており、Googleのソリューションにおいては、下記のような目的のために利用されています。
① 1st パーティ クッキー:閲覧しているページのドメインをセットしたクッキー
⇒現在、主にサイト解析(Google アナリティクス等)のために用いられている。
② 3rd パーティ クッキー:閲覧しているページとは別のドメインをセットしたクッキー
⇒現在、広告効果計測(Google Ads CV)、ターゲティング広告(Google Ads RT)のために用いられている。
3rd パーティクッキーは、特に広告施策で大きな役割を担っています。例えばあるユーザーが特定の広告をクリックし、その後CVに至った場合、ユーザーに付与されたクッキーの情報から広告の効果を計測することができます。また、一度サイトに訪れた(=サイトに興味がある)ユーザーにクッキーを付与することで、サイト離脱後もそのクッキーを目印としてその訪問者をターゲットとした広告配信が可能となります(リターゲティング/リマーケティング配信)。
規制内容と影響
近年、インターネットにおけるプライバシー保護強化の潮流が高まり、これまでの3rd パーティクッキーを用いたインターネット広告施策における “当たり前”に対して様々な規制が進んでいます。この規制は行政による【法規制】と民間企業による【技術規制】の2つの側面があり、企業は法律順守を前提に技術的な対策を検討する必要が出てきました。
なかでも従来の広告施策に大きな影響を与えているのが、Apple社とGoogle社による技術規制です。
Apple社は、自社ブラウザSafariにトラッキング防止機能としてITP (Intelligent Tracking Prevention)を搭載しています。ITPによって3rd パーティクッキーは全面的にブロックされ、JavaScriptでセットされた1st パーティクッキーは7日、さらに広告経由でJavaScriptによりセットされた場合は1日で削除されます。Webサーバーでセットされた1st パーティクッキーであれば規制の影響を受けません。3rd パーティクッキーが使用できなくなることで、従来のようなリターゲティング広告やCV計測は不可能となります。
Google社は、インターネットにおけるプライバシー保護のための技術規制の強化を行うことを明言しています。現時点で規制はなく3rd パーティクッキーも利用できるものの、2024年7月から段階的に段階的にChromeブラウザでの3rd パーティクッキーの利用を廃止することを発表しています(※1)。
※1:Googleによる3rdパーティクッキー廃止は、再度2025年に延期する旨が発表されていましたが、
これまでの方針を転換し、3rdパーティクッキーの廃止を見送る新たなアプローチを発表しています(2024年7月22日)。
Googleが提唱するクッキーレスレス対策「Privacy Sandbox」についてのブログ記事はコチラ
GoogleプロダクトにおけるITP対策
3rd パーティクッキーの規制が行われると、ターゲティング施策や効果計測への影響が出てきてしまうため、Google社では代替手法によってITP対策を行う方針です。具体的には、サイトワイドタグとサーバーサイドタグを用います。サイトワイドタグ、サーバーサイドタグでITP対策をすることで、ITPの影響で欠損しているCV数を補完することができ、結果的に広告運用のパフォーマンス改善につながります。
サイトワイドタグとは
サイトワイドタグとは、Google AdsやCampaign ManagerなどGoogleプロダクトのCV計測を補足するツールです。サイトワイドタグの設定することにより、これまで3rd パーティクッキーを利用して行っていたCV計測が、JavaScriptで発行された1st パーティクッキーを利用してできるようになります。そのため、ブラウザごとに有効期限の制限(※2)はされるものの、CV計測の精度が向上することが見込まれます。
※2 Safari、各種ブラウザ:24時間まで
Chrome:計測制限はなくなる(現在は規制開始前のため、もともと制限なし。規制開始後の場合)
サイトワイドタグの設定方法は下記2つのパターンがあります。
導入ハードルも低く、CV計測の精度が向上というメリットに対しデメリットというデメリットもないため、まず設置してみることが推奨されます。
サーバーサイドタグとは
サーバーサイドタグとは、ユーザーのブラウザ上で行われていたタグの処理を、専用のサーバー(GCP)に転送して実行させるツールです。サーバー側からクッキーをセットするため、基本的にITPの影響を受けずにサイト解析や広告効果計測ができます。
サーバーサイドタグの導入には、もちろんメリットもありますが、その一方でデメリットもあるため、両方の特徴を把握した上で導入検討が必要となります。
<メリット>
・Google アナリティクスで計測・分析しているサイトアクセス数の精度維持
・ページ読み込み速度の向上(ブラウザ上の負荷軽減・通信量削減)
・ITP対策(サーバー側発行のクッキー利用)
・セキュリティの強化(サーバー側での処理による訪問者データの保護)
<デメリット>
・導入には有償サービスが必要(GCP AppEngine)
・サーバー側の知識・設定も必要となるため、導入ハードルが高い
・対応しているプロダクトが少ない
対応済みプロダクト:UniversalAnalytics 、GA4、Mesurement Protocol、Search Ads360、Campaign Manager、Display&Video360、Google Ads (GA4連携のプロダクトのみ活用可能でUniversalAnalyticsは不可)
また、サーバーサイドタグを導入するためには、Google Cloudの契約・利用が必須となります。よって、導入時には得意先のサイト管理者やサーバー管理者の協力が必要になってきます。弊社DACがご協力させていただく場合、具体的な導入までのステップは以下のようになります。
まとめ
インターネット広告におけるプライバシー保護強化の潮流が高まり、なかでも特に強力な影響を持つITPに対し、企業は従来の施策の代替手法や対策が求められています。このITP対策のひとつとして、Googleのサイトワイドタグ・サーバーサイドタグの導入があります。
いずれもITPの対策として有効な手段ではありますが、サイトワイドタグに比べサーバーサイドタグの方がITPの影響を大きく回避でき、改善幅は大きくなると予想されます。一方で、サーバーサイドタグは導入のハードルが高いのが現状です。そこで、まずは導入ハードルの低いサイトワイドタグから取り入れてみてはいかがでしょうか。
DACでは、Googleのサイトワイドタグ・サーバーサイドタグの導入のサポートする体制を整えています。ご不明点やお困りの際は、ぜひ下記よりお問い合わせください。お待ちしております!
関連ページ
・ゼロ知識の人でもわかる!Googleが提唱するCookieレス対策「Privacy Sandbox」とは?
・【前編】クッキー規制時代の1stパーティデータの重要性と外部データを用いた発展形
・トラッキング規制の正体とは ~プライバシー保護に向けたAppleとGoogleの取り組み~