デジタル広告ってIT用語やマーケティング用語といった専門用語が多くて難しいですよね。昨今では「ポストクッキー時代」と言われていますが、「これまでと何が違うのかわからない」「そもそもクッキーって何?」と思われている方もいるのではないでしょうか。
本連載(全5回)では、デジタル広告に関わる方はもちろん、全ての方にわかりやすく「ポストクッキー時代」の今後の対策について解説していきます。初回は超入門編として『そもそも「クッキー」とは何?』をテーマにお届けします。
Introduction
媒体社へ入社したワタナベさん(主人公)が配属後、プログラマティック領域担当になりました。
よく耳にする「クッキー」を調べてみたところ、わからないことが多いので先輩のタケダさんに聞いてみることにしたようです。
ワタナベさん)
新卒研修が終わったから運用型広告について調べてみているけどカタカナと省略された専門用語が多くて何がなんだかわからないな…。
ヤマダさん)
なんだか難しい顔をしてるな!どうした?
ワタナベさん)
部長、お疲れ様です。運用型広告の基礎を勉強しているのですが、「クッキー」というよく目にする単語がそもそも何のことを指しているのかわからなくて。
ヤマダさん)
クッキーより煎餅の方が好きかなあ。
広告周りのことはタケダさんが詳しいから教えてもらうといいよ。
タケダさん)
最初はわからないことだらけだよね。ひとつずつ確認していこう!
そもそも「クッキー」とは何?
ワタナベさん)
「クッキー」って何のことですか?
タケダさん)
クッキーとは、Webブラウザ上でサイトを閲覧した時に作成される、データを一時的に保管しておくファイルのことだよ。サイトの訪問履歴や、パスワードなどの入力項目などのデータを記録しているから、さっきまで見ていたサイトなら、再度ログインしなくても見られるのはクッキーのおかげだね。
ワタナベさん)
なるほど、便利にしてくれているものなんですね。なんで「クッキー」って言うんですかね?
タケダさん)
実はいくつか由来があるみたいだけど、データの保存用として使われるものだから、同じ保存の意味を持つ『保存食=クッキー』から来た説が濃厚だね。あとはWebサイトの情報を取得される=「食べられる」という意味で名付けられたとする説もあるみたいだよ。
3rdパーティクッキーとは何?
ワタナベさん)
クッキーにはどういうものがあるんですか?
タケダさん)
それを説明するためには、まずクッキーやデータの種類について話す必要があるね。まず、○○パーティデータのそれぞれの意味について確認しよう。
- 1st Party(ファーストパーティー)~ :自社の~
- 2nd Party(セカンドパーティー)~ :他社の~
- 3rd Party(サードパーティー)~ :第三者の~
ワタナベさん)
調べているとよく「3rdパーティクッキー」という単語を目にします。
タケダさん)
そうだよね。デジタル広告にはその「3rdパーティクッキー」が重要な構成要素だからなの。
- 1st パーティクッキー:自社サイトを訪問したユーザーに対して自社で発行したクッキー
- 3rdパーティクッキー:サイトを訪問したユーザーに対して、サイト運営者以外の第三者によって発行したクッキー
3rdパーティクッキーはターゲティング広告の配信や効果測定、データの管理などに利用されてるね。
クッキーはどうして使えなくなる?
ワタナベさん)
クッキーのことをよく知らなかったので、勝手にあやしいイメージがついていましたが、ユーザーにとっても便利なもので、広告配信にも使われている大事なものなんですね!
タケダさん)
「クッキー規制」がニュースなどで話題になっているから、よくないイメージがついているのかもしれないけれど、別にあやしいものではないよ。クッキーそのものはインターネットを便利に利用できるとても重要なシステムだしね。
ワタナベさん)
便利なシステムであるはずなのに、「クッキー規制」をするのは何故なのでしょうか?クッキーは使えなくなってしまうんですか?
タケダさん)
3rdパーティクッキーはその特性上、今後の広告配信への活用が難しくなっているんだよね。2つの観点で、3rdパーティークッキーの持つ課題についてそれぞれ解説していくね。
1)プライバシー保護の観点から今後利用ができなくなる可能性が高い
タケダさん)
まず1点目は、プライバシー保護の観点から利用ができなくなると言われてるところ。
ターゲティング広告は、ユーザーが興味のある商品や商材が出てくるので、見ている側としても全く興味のないものが表示されるよりは良いはずだけど、「何でこないだ見たサイトの広告が別のサイトを見ている時に出るんだろう…」と不思議に思ったり、気持ち悪いと感じる人も多くいるみたい。
そういった声もあり、プライバシー保護のためにクッキーは規制した方がよいという流れになったんだ。今は法律でも、AppleやGoogleなどが設定しているルールでも規制が始まってる。
既にiOSでは利用ができなくて、2024年度以降はAndroidでも使えなくなると言われているよ。
【技術的規制】
- Appleのトラッキング規制(ITP・ATT等)
- Googleのトラッキング規制(2024年度から本格化)
ワタナベさん)
さっきまでカートに入れるか迷っていたスニーカーの広告が別のサイトでも表示されたこと、僕もあります。もう慣れてしまって気にしたことはありませんでしたが、そういう意見もあるんですね。
2)「揮発性」が高く確定データ」ではない
タケダさん)
2点目は「揮発性」が高く、つまりすぐに消えてしまうデータで、「確定データ」ではないので推測が含まれているという点だね。
クッキーはWebブラウザ上でサイトを閲覧する時に発行される、と説明したよね。つまり、同じデバイスの同じブラウザで見ないと同一人物として判断できない。そしてクッキーは有効期限が設定されていることが多くて、一度発行されたからといってずっと使えるわけではないんだよね。
ワタナベさん)
スマホで気になったものを自分のPCで調べている時は、同じ人だとは認識されていないんですね。
タケダさん)
そうだね。あとは、自分が登録した本当の情報ではなくて、クッキーには閲覧履歴に基づく推測データが紐づいているから100%正確とは言えないという課題もある。
広告を確実に届けたいユーザーがいる時は、もっと精度の高いターゲティングができる方法があればそちらを利用したいよね。
クッキーをめぐる規制には何がある?
ワタナベさん)
先ほど、法律でも規制がはじまっていると仰っていましたが…
タケダさん)
2022年に改正個人情報保護法、2023年に改正電気通信事業法が施行されて、日本国内でもユーザーのデータやプライバシーを保護する動きが活発になっているんだ。
過去にDACのブログでも解説されているから、詳しくはこの記事を読んでみてね!
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- いま話題!トラッキング規制の正体とは ~プライバシー保護に向けたAppleとGoogleの取り組み~
ワタナベさん)
ありがとうございます!あとで勉強しておきます。
今回のまとめ
ヤマダさん)
ワタナベくん、クッキーについてはわかったかい。どんなこと教えてもらった?
ワタナベさん)
部長!詳しく教えていただいて、だいぶクッキーについて理解できた気がします。今回学んだ内容を日報にまとめたので確認お願いします!