【Amazon広告基本編】Amazonスポンサー広告まとめ 広告メニューの特徴と活用メリットを徹底解説!

 2025.01.23  星野 萌

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「【Amazon基本編】広告を始める前に知っておきたいAmazon基本用語集」の記事では、AmazonというECモールの概要や用語など、Amazonにおけるマーケティング施策を考える上で土台となる部分を解説してきました。

ECモールとしてのAmazonの基本を学べたところで、今回からは、「Amazon広告基本編」と題し全3回にわたりAmazon広告について徹底解説していきます。

本記事ではスポンサー広告、次回の記事ではAmazonDSPをピックアップし、それぞれの特徴や活用メリットについて解説していくので、是非ご参考ください!

Amazon広告って何?

Amazon広告の種類

Amazon広告とは、その名の通りECモールAmazonが提供している広告プロダクトです。
Amazon広告は主に純広告スポンサー広告AmazonDSPに分類され、スポンサー広告とAmazonDSPは、運用型広告に該当します。
本記事ではスポンサー広告について詳しく解説していきます。

AmazonAdsBasic_1-1

Amazon広告を活用するメリット -売上サイクルの起爆剤-

スポンサー広告の詳しい説明に入る前に、Amazon広告の運用型広告(スポンサー広告/AmazonDSP)の特徴・活用するべき理由を4つご紹介します。

唯一Amazon内に掲載できる広告

Amazon広告は、Amazon内に掲載できる唯一の広告メニューです。
「【Amazon基本編】Amazonの影響力とメディアとしての魅力」の記事でも触れましたが、Amazonは推定ユーザー数6700万人/月(24年5月時点)を誇る巨大なECモールです。
商品の購入や比較検討のためにAmazonに訪れる、膨大かつ良質なユーザーに唯一アプローチできるのは大きなポイントです。

そして、それだけのユーザーが能動的に、商品を買うためにサイト内を回遊しています。
つまり Amazon 内での広告掲載は、他媒体に比べて購買意欲が高い膨大な数のユーザーに、極めて自然に広告訴求ができるのです。

購入までの導線を短く設計できる

Amazon広告には、広告をクリックした際にAmazonの商品詳細ページに遷移させることができる広告や、広告から直接商品をカートに追加できるタイプの広告があるため、購入までの導線を非常に短くすることが可能です。

Amazonの「購買データ」を用いたターゲティングが可能

「【Amazon基本編】Amazonが持つデータの魅力とその活用方法」の記事でも紹介したように、Amazon広告ではAmazonユーザーの実購買データをターゲティングに活用できます。
例えば、Amazonでゲーム機器やゲームソフトを頻繁に購入しているユーザーに対して、最新ゲーム機器の広告を配信するといった例が挙げられます。

Amazon広告は実購買データを活用した広告配信が可能なため、購買データを持たず興味関心や検索履歴を活用する他媒体の広告ターゲティングと比較して、ターゲティング精度はより高く、整合性のある広告配信が可能なのです。

Amazonで売れるサイクルを作り出せる

そして、何よりAmazon内で商品が売れるサイクルを作り出すきっかけとなることこそが Amazon広告出稿の最大のメリットと言えます。

Amazon内で売上を伸ばすためには検索結果の上位に商品が表示されることが必須ですが、この表示の順位がどのように決まっているかご存知でしょうか。

詳細なアルゴリズムの仕組みは公開されていないものの、Amazon は商品詳細ページの閲覧数や、販売数、レビュー数などで順位付けをしており、Amazon 広告はこれらを増やすことに最も適した選択肢なのです。
Amazon 広告が生み出すサイクルのモデルとは以下のようになります。

AmazonAdsBasic_1-2

① Amazon広告で商品の露出を増やす
②広告によって商品詳細ページへの訪問が増える
③購入数やレビュー数も増加する
④商品詳細ページの閲覧数や購入数、レビュー数の増加によってAmazon 内での検索順位が上がる
⑤自然検索経由のユーザー流入数も増加する

こうしてAmazon広告がきっかけで “売れるサイクル”が生まれ、より商品は売れやすくなっていきます。
Amazon内で売り上げを伸ばしたい広告主にとって、非常に価値のある広告と言えるでしょう。

スポンサー広告とは

ここからは、スポンサー広告がどんな広告なのか、概要の説明に入っていきます。

スポンサー広告とは、Amazonが提供する基本的にはCPC課金の運用型広告(一部CPM課金)です。
Amazon内に掲載でき、主にAmazon内での売り上げを伸ばしたい広告主が活用する広告プロダクトです。

スポンサー広告には、スポンサープロダクト広告スポンサーブランド広告スポンサーディスプレイ広告の3種類が存在し、それぞれの広告プロダクトで掲載面やターゲティング方法などが異なります。
下記が3種類を比較したものになります。

スポンサー広告比較

それでは、各広告メニューの詳細や出稿するメリットを解説していきます。

スポンサープロダクト広告 費用対効果を求めるなら!

スポンサープロダクト広告とは、Amazon内の検索結果ページの上部、中部、下部と商品詳細ページの下部に掲載できる検索連動型広告です。
検索結果ページでの掲載においては自然検索で表示される商品と並んで表示され、見え方も自然検索の商品と非常に似通っています。
ユーザーにとって抵抗感が少ない広告であり、クリックされやすいのが特徴です。

検索結果ページに表示される形態がなじみ深いですが、商品詳細ページ下部の枠もスポンサープロダクト広告となっています。

スポンサープロダクト広告1

スポンサープロダクト広告2


広告の遷移先は商品詳細ページのみで、ターゲティング方法はキーワードターゲティング商品ターゲティングを利用できます。

キーワードターゲティング

事前に入札をかけるキーワードを設定し、設定したキーワードをユーザーが検索した際に該当枠を入札しに行きます。
キーワードの選定に関しては、手動でキーワードを選定する手動ターゲティングと、Amazonが自動で関連性の高そうなキーワードを選出してくれる自動ターゲティングが利用可能です。
ただし、自動ターゲティングは手動ターゲティングと比較して細かな調整を行うことはできません。

商品ターゲティング

商品ターゲティングには、ASINターゲティングカテゴリターゲティングの2種類が存在します。

①ASINターゲティング
ユーザーが商品を検索した際に、自然検索の検索結果1位が設定したASINだった場合に該当枠に対して入札しに行く仕組みです。
自然検索1位の商品のさらに前に広告商品を掲載することで目立たせることができます。
また、指定の ASINの商品詳細ページ下部の掲載枠への入札も可能です。

②カテゴリターゲティング
ASINターゲティングと類似しており、自然検索の検索結果1位が設定したカテゴリに属するASINだった場合に入札しに行く仕組みです。
また、広告対象のASINが属するカテゴリを指定することで、指定カテゴリに属する他ASINの商品詳細ページ下部の掲載枠への入札が可能です。


ここまでスポンサープロダクト広告の詳細について言及してきましたが、スポンサープロダクト広告を利用するメリットにはどんなものがあるでしょうか。

スポンサープロダクト広告活用の一番のメリット、それは費用対効果の高さにあります。
スポンサープロダクト広告は前述した通り、オーガニック商品と並列で広告露出が可能なためクリック率が高く、また掲載面の多い広告プロダクトであることからクリック単価も高騰しにくい傾向があります。
加えて、検索連動型の広告のため、広告を配信するユーザーは少なくとも商品や商品の属するカテゴリにある程度の興味・関心を持つ顕在層になります。
これらの理由から、スポンサープロダクト広告は3つのスポンサー広告の中で、最も費用対効果が高い傾向にあります。
また顕在層へ訴求できるため、広告効果が比較的早いうちに現れることもメリットです。

Amazon広告を活用するにあたって、まず最初に検討すべき広告プロダクトと言えるでしょう。

スポンサーブランド広告 -ブランドストーリーを謳え!

スポンサーブランド広告とは、検索結果最上部の目立つ場所に大きく掲載ができる唯一の検索連動型広告です。
オフライン店舗に例えるのであれば、掲示されている POP、チラシがAmazon内に掲載されているというようなイメージの広告になります。
そのため自社ブランド全体、あるいは商品カテゴリ群、各商品の訴求に適しています。
スポンサー広告の中では比較的視認率が高いことが特徴です。

Amazon内の検索結果ページの最上段(1枠のみ)、下段と商品詳細ページの下部に掲載が可能です。
広告枠が少なく枠へ広告主が入札し合うため、単価が高くなる傾向にあります。

▼商品詳細ページへの掲載イメージ図

スポンサーブランド広告


スポンサーブランド広告には、商品コレクションストアスポットライトと呼ばれる2つのフォーマットが存在します。これらの異なる点は主に表示内容と遷移先です。

スポンサーブランド広告

商品コレクション

ブランドロゴ・見出し、カスタム画像(自由に設定できる画像)に加えて、0~3個のASINによって構成されます。
遷移先はAmazonストア(※1)、商品リストページ(※2)、商品詳細ページ(動画の場合のみ)です。
広告内の各商品画像をクリックした場合は、各商品詳細ページへと遷移します。

ストアスポットライト

ブランドロゴ・見出しに加え、商品画像とサブページ(Amazonストアページ内で分岐するサブカテゴリページ)タイトルによって構成されます。
サブページの例として、シャンプー/トリートメントの「しっとり」と「さっぱり」などのシリーズに分けられるような商材で使われます。
この商品画像は一つの商品を表すものではなく商品シリーズを表すものなので、クリックしても商品詳細ページには遷移せず、ストアのサブカテゴリページと呼ばれるページに遷移します。

「商品コレクション」の方が各商品(ASIN) を露出しており、購入決定のボタンまでの導線が短いことが大きな特徴です。
ブランドを押し出しつつも、各ASIN への購入導線もしっかり張っているバランスの取れたフォーマットです。

「ストアスポットライト」は商品ページではなくカテゴリページへと遷移するため、よりブランドイメージを伝えることに重きを置いた形式と言えます。
訴求できる情報量が多い反面、購入までの導線は長くなっています。


また、スポンサーブランド広告のターゲティングはスポンサープロダクト広告と同様、キーワードターゲティング商品ターゲティングが利用可能です。
(※自動ターゲティングはできず、手動での設定でのみ実施可能です)
加えて、スポンサーブランド広告ではAmazonの機械学習によって選ばれたキーワード群を単一で入札するテーマターゲティングも利用可能です。


スポンサーブランド広告では動画を掲載することもできます。
スポンサーブランドビデオ広告と呼ばれます。
前述の二つのフォーマットとはまた別の構成となるので、ここでご紹介しましょう。

image (6)

上図のように、広告左側に動画素材を、右側に商品(ASIN)を表示するクリエイティブです。
ターゲティングは先にご紹介した静止画のスポンサーブランド広告と変わりませんが、検索結果ページの上段・下段に加えて中段にも掲載枠があり、広告の 50%が画面に表示された時点でミュートの状態で動画が再生されるという仕様になっています。
広告クリック時の遷移先には、商品詳細ページ、Amazon ストアページを指定することができます。

動画広告は CPM課金が一般的な中、珍しく CPC課金を採用しており、キーワードを検索したユーザーに対して安価に動画を見せることが可能です(vCPM課金も選択可能)。
しかし広告配信において、一般的な impression数やClick数などの指標は確認できるのに対して、動画視聴開始率などの動画広告ならではの指標が一部確認できないため、その点はあらかじめ認識しておく必要があります。


スポンサーブランド広告を解説してきましたが、スポンサーブランド広告を利用するメリットについてもご紹介します。
スポンサーブランド広告は静止画・動画ともにブランド訴求に重点を置いた広告であり、ユーザーにブランドを知ってもらう、理解してもらうのに有効です。
さらに新商品をローンチした広告主がスポンサープロダクト広告と併用することで、ユーザーの認知・理解を得ながら、購入数にも寄与させるといった戦略を建てることができます。

スポンサーディスプレイ広告 -戦略豊富!

最後にご紹介するのがスポンサーディスプレイ広告です。
これまでに見てきた2つのメニューは検索連動型広告で、ユーザーの検索用語に対して入札するため顕在層へ当てる特性の強いプル型の広告と言えます。
それに対して、スポンサーディスプレイ広告はターゲティング方法が多様であり、戦略に富んだプッシュ型の広告となります。

掲載面はトップページ、検索結果ページ、商品詳細ページと他のスポンサー広告よりも多く、さらにそれぞれに複数枠があり、配信サイズも豊富です。
広告クリック後の遷移先は掲載ASINの商品詳細ページなので、購入までの導線が短い設計と言えます。AmazonAdsBasic_1-6


スポンサーディスプレイ広告はどのようなターゲティングが行えるのか、という点ですがここにも先に紹介したメニューとは大きく異なる点があります。
それは〈面〉を指定して配信するターゲティングに加えて、〈人〉を指定するメニューもあることです。

〈面〉のターゲティング =コンテキストターゲティング

スポンサーディスプレイ広告で〈面〉をターゲティングすることをコンテキストターゲティングと呼びます。
このターゲティングでは ASINやカテゴリを指定することで、該当する ASIN のページやカテゴリページに配信できます。
スポンサープロダクト広告やブランド広告でも同様のターゲティングができ、先に紹介した通りです。

〈人〉のターゲティング =オーディエンスターゲティング

対して人の属性や行動履歴からユーザーの特性を見出し、〈人〉のターゲティングを可能にするのがオーディエンスターゲティングです。
こちらはAmazonDSPで実施できるターゲティングと同様のものです。
ライフスタイル、興味関心、ホットカスタマー、ライフイベントといった Amazon によって規定された多くの配信セグメントを使い
、そのユーザー群に向けて配信するという形になっています。
具体例を紹介すると「新生活向けの商品
のASINを宣伝したい場合に、最近引っ越したと思われるユーザーへ向けて配信する」といったことや「ランニングシューズを広告したいから日常的にランニングをしていると思われるユーザーへ配信する」などが可能です。

スポンサーディスプレイ広告では、加えてリターゲティングも可能です。
ASINを指定して、その商品を閲覧したユーザーや購入したユーザーへ配信することができます。



スポンサーブランド広告と同様に、スポンサーディスプレイ広告でもビデオを素材としたクリエイティブを配信することが可能です。
この場合には、Amazon トップページ、または商品詳細ページに掲載されます。
ターゲティングは静止画のスポンサーディスプレイ広告と同様のものが使用でき、クリック時の遷移先も商品詳細ページとなっています。

スポンサーブランド広告_ビデオ


このようにスポンサーディスプレイ広告には豊富な掲載面、クリエイティブサイズ、ターゲティングがあるからこそ施策も様々です。

例えば、競合のやや高価格帯ASINを指定して、その商品ページへ比較的廉価な自社ASIN を広告配信することでブランドスイッチを狙うことができます。
もちろん、それを競合が仕掛けてくる場合もあるため、自社ASINの商品詳細ページ枠へ入札をしてブロックすることも戦略の一つになります。

スポンサーディスプレイ広告はスポンサー広告の中では比較的CPC を安価に抑えられる広告であることがメリットですが、プッシュ型で顕在層へアプローチする広告ではないため、費用対効果は他のスポンサー広告より低い傾向があり、その点には注意が必要です。



※1 Amazonストア:
いわゆるAmazon内に作成可能なブランド専用ページ。企業が各ブランドのイメージやこだわりなどの情報を発信する役割。
※2 商品リストページ:
その名の通り、同ブランドの商品が一覧で表示されているページ。

おわりに

今回はAmazon広告の中でも、スポンサー広告にクローズアップして解説してきました。

スポンサー広告についての大枠は今回の記事で理解していただけましたでしょうか?
次回はAmazonDSPについての記事も公開しますので、そちらもぜひご一読ください。

■CROSS COMMERCE Studioについて
Hakuhodo DY ONEの「CROSS COMMERCE Studio」は、ECモール、自社EC、ソーシャルコマースに関する既存のサービス、ツール、ソリューションを1つに統合し、eコマース領域を横断的かつシームレスに支援する体制。
施策管理・進行および、各個別領域を横断したシームレスな形でのコンサルティング、ツール・制作機能を提供し、企業のeコマース領域におけるマーケティング活動の最適化支援を行います。

この記事の執筆者

星野 萌

DACへ新卒で入社。Amazon・楽天市場などのECプラットフォームにおける広告を横断的に担当し、ECモール広告のプランニング、運用、分析業務を一気通貫で実行。家電メーカーや食品メーカーを中心とした大手企業を中心に経験を積み、ECモールにおける売上最大化に向けたPDCAの実行業務を担当。

DACへ新卒で入社。Amazon・楽天市場などのECプラ...

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