メタバース、ゲームプラットフォーム、VR/AR…マーケターが知っておくべきバーチャル空間の「今」と「これから」

 2025.07.11  石川 知美

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こんにちは。Hakuhodo DY ONEのグループ会社で、ゲームメディア専業マーケティングエージェンシーのARROVAです。

皆さんは、「バーチャル空間」についてどのようなイメージがありますか。

バーチャル空間とは、コンピュータ技術を用いて作られた、現実の物理的世界とは異なる仮想の空間です。ユーザーは、アバター(分身)やデジタル表現を通じてこの空間にアクセスし、交流や体験を行うことができます。

今回は、そんなバーチャル空間についての基礎と変遷をご紹介し人々がバーチャル空間に求めているものについて紐解いていきます。

バーチャル空間とは?

バーチャル空間は、メタバース、ゲームプラットフォーム、仮想現実(VR)拡張現実(AR)など、さまざまな形態があり、視覚的・聴覚的にデジタル環境を表現しています。
新しいマーケティングチャネルとしても注目され、近年では企業の活用事例も徐々に増えてきました。

バーチャル空間の種類  

  • メタバース
    インターネット上に構築された仮想空間。人々がアバター(分身)を使って他社との交流やさまざまな体験を行うことができる。Cluster」や「REALITY」などがある。

  • ゲームプラットフォーム
    オンラインでつながるゲーム空間。「Fortnite」や「Roblox」のプレイ人口は世界で数億人規模にも上る。

  • VR
    VRゴーグルなどのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着することで、より没入感の高い体験ができる仮想空間。メタバース的な要素を持つものも多い。ソーシャルVRプラットフォームの「VRChat」が有名。

  • AR
    「現実の世界」にデジタル情報(3Dモデル、テキスト、画像など)を重ねて表示する技術。スマートフォンやARグラスなどを通して体験する。

バーチャル空間の急成長と、その社会的影響

世界で最初に流行したバーチャル空間は、2003年に米リンデンラボ社から登場した仮想世界「Second Life(セカンドライフ)」とされています。

メタバース、ゲームプラットフォーム、VRARマーケターが知っておくべきバーチャル空間の「今」と「これから」_01▲現在も運営を続ける「Second Life」。
※出典:セカンドライフ公式|Linden Research, Inc. 

この時代のバーチャル空間は、主にユーザーが自由にメタバース内を探索し、交流するための場所として利用されていました。しかし、当時は技術的な制約が多く、広く一般に浸透することはなかったようです。

その後、2020年代になると、バーチャル空間はエンターテインメントと広告の新しい舞台として、再び注目を集め始めます。特に、2021年末のFacebook社がMeta社へと社名変更した出来事は、メタバースという概念を一気に世間の注目の的に押し上げました。

「Fortnite」「Roblox」などのゲームプラットフォームでは、ユーザーが没入できる空間が提供され、ゲーム内での企業広告やブランドコラボレーションが活発化していきます。「VRChat」などのソーシャルVRプラットフォームでは、ユーザーは仮想空間内で自由に交流したり、仕事をしたり、イベントに参加したりすることができるようになりました。

こうしたバーチャル空間がもたらす進化は、クリエイター経済圏の拡大にもつながり、個人が空間そのものや空間内で使用する商品を制作・販売・配信する「自己実現」の場へと発展しています。

メタバース、ゲームプラットフォーム、VRAR...マーケターが知っておくべきバーチャル空間の「今」と「これから」_02VRChatは、ユーザーが作ったさまざまな「ワールド」での交流が可能。
※出典:VRChat公式|VRChat Inc.

また、現在ではメタバースという概念は、ゲームのみに留まらず、社会的な活動、ビジネス、さらには教育や医療、福祉に至るまで、さまざまな領域での活用が進んでおり、今後ますますの発展が期待されています。

人々がバーチャル空間に求めるもの

バーチャル空間の活用が広がっていくなかで、利用する人々が求めるものとは?

それは、技術の発展や社会状況によって変化をしてきましたが、共通しているのは“現実とは異なる自由な体験”への欲求であると言われています。具体的にはどのようなニーズがあるのでしょうか。

1. 日常からの解放・自己表現の場

現実では体験できないファンタジー世界や異次元的な空間に身を置くことで、日常から解放されたいというニーズがあります。

メタバース、ゲームプラットフォーム、VRAR...マーケターが知っておくべきバーチャル空間の「今」と「これから」_03

バーチャル空間では、外見・性別・年齢などの制約を超えて「なりたい自分」になるという自己表現ができます。博報堂行動デザイン研究所の調査では、メタバース経験者の8割が「現実よりメタバースが自己の欲求実現可能性高い」と回答しました。アバターを通じて表現することで、「現実の自分よりも自分らしくいられる」といった声も多く聞かれています。

※参考:博報堂行動デザイン研究所、「メタバース経験者の情報行動・欲求に関する調査」を実施|株式会社博報堂
※画像は生成AIを利用して作成

2. つながりと共感の場

特にコロナ禍以降、リアルで人と会う機会が減ったことから、バーチャル空間での雑談・遊び・イベント参加が社会的つながりの補完として利用されています。
また、バーチャル空間には、現実ではなかなか出会いづらい共通の趣味を持った人々同士が集う“コミュニティの場”としての価値もあります。 趣味嗜好の合う仲間とのコミュニケーションを楽しむ人々の居場所となっているのです。

3. 創作・共有の喜び

バーチャル空間によっては、家、街、店などを自分好みにデザインし、「自分だけの世界」を持つ喜びや、自作ゲームを公開して収益化するなどクリエイターエコノミーの要素がある場合があります。「バーチャル空間ならではの創作体験」も魅力の一つです。
特に「VRChat」や「Horizon Worlds」ではユーザーの“ワールド制作”が盛んです。

4. 空間的な制約がなく人と会える利便性

社会的な活用として大きな利点としては、移動の手間を省きつつ、空間的な制約がなく人と会える利便性です。身近な例では、バーチャル会議、展示会、授業などでの効率的な活用が挙げられます。
今後は、バーチャル空間ならではの操作性や、視覚・聴覚を拡張するインターフェースの実現などが期待されています。

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このように、バーチャル空間では、現実社会で満たされにくいさまざまな要素を実現することができます。また、人々にとって単なる仮想体験ではなく、“もう一つのリアル”としての社会的役割も担い始めているといえるでしょう。

※画像は生成AIを利用して作成

企業はバーチャル空間にどう向き合うべきか

従来からのテレビに加え、SNSやバーチャル空間は若年層にとって重要な情報源となっています。こうした状況下で新たな接点を模索している企業にとって、バーチャル空間は非常に魅力的なフィールドです。

  • 広告を“体験”として届けられる
  • 国境・時間の壁を越えて商品を訴求できる
  • データ取得がリアルより柔軟

といったマーケティング観点での強みもあります。

実際に企業はどのようにバーチャル空間に向き合うべきでしょうか?
参入に向けたステップを簡単にご紹介していきます。

STEP①:まずは「観察」から

バーチャル空間に無理に施設やブースを構える必要はありません。まずは、どの空間にどんな人が集まり、どのような活動をしているのか、観察することから始めてみましょう。既に参入している企業の取り組みやSNSをチェックするだけでも、多くのヒントが得られます。

STEP②:「ブランド体験」を重視する

バーチャル空間は、単なる「広告枠」ではなく、“ブランドの世界観を体験してもらう場所”です。商品を売ることよりも、まずは顧客との関係を深めることを念頭に置き、バーチャル空間でどんな顧客体験が提供できるか検討してみましょう。

※参考事例:
・『フォートナイト』内に草津温泉が出現。メタバースで国内外の観光客を誘引するプロジェクトが始動|ファミ通.com
・BEAMSのバーチャルワールドがVRChatに登場 「Tokyo Mood by BEAMS」|株式会社ビームス

STEP③:リアルとの連携を意識

バーチャル空間はバーチャルだけで完結するものではありません。リアルやオンラインサイトとの連携が可能です。

たとえば、

  • バーチャルショップ内でクーポンを配布し、実店舗へ誘導
  • バーチャルライブでファンを獲得し、SNSフォローやECサイトへ誘導

といった施策を展開することもできます。

このように、バーチャルとリアルを組み合わせることで、相乗効果で集客や売上アップにつながります。施策の効果を見えやすくするためにも、リアルとの連携を意識した施策設計を行うのが良いでしょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は、バーチャル空間について解説しました。

ARROVAは、バーチャル空間でのプロモーション展開に強みを持ったエージェンシーです。
2025年6月には、VRChatユーザーを対象にしたデジタルファッションマーケットプレイス「TOKYO AVATAR GATEをオープンするなど、バーチャル空間の新たな可能性を広げています。

メタバース、ゲームプラットフォーム、VRAR...マーケターが知っておくべきバーチャル空間の「今」と「これから」_05

※参考:2025年6月25日リリース「Hakuhodo DY ONEとARROVA、デジタルファッションマーケットプレイス 「TOKYO AVATAR GATE」をグランドオープン ~VRChat対応『攻殻機動隊 S.A.C.』『モブサイコ100』原作キャラクター着用アイテムなど販売~」


また、特定のユーザー層(例えばZ世代向けのプロモーション)や業界別での活用についてもご提案可能ですので、些細なご相談でも、ぜひお気軽にお問い合わせください。

■ARROVAについて

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ARROVAは、博報堂DYグループの株式会社Hakuhodo DY ONEのグループ会社。国内初のゲームメディア専業マーケティングエージェンシー。ゲーム空間内に溶け込む「インゲーム広告」を始め、CGI ・AR・ブランドゲームといった“バーチャル空間”と “リアル空間”とを接続させるエンターテイメント体験を生活者に提供しています。
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この記事の執筆者

石川 知美

大手人材サービス企業での営業、CRM施策の企画・制作ディレクション等を経験し、2016年デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(現・Hakuhodo DY ONE)へ入社。自動車メーカーのデジタル広告施策プラン提案・運用に携わる。その後、Hakuhodo DY ONEグループ会社の経営管理部門の支援業務に従事、2024年8月よりARROVAの広報を担当。

大手人材サービス企業での営業、CRM施策の企画・制作ディ...

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