「Amazon広告基本編」と題し全3回にわたりAmazon広告について徹底解説しております。
第三弾となる今回は、一般的なデジタル広告で確認できる指標から、Amazon 広告を活用する上でポイントとなる指標や概念、AmazonDSP特有の指標に分類してAmazon広告のレポート指標を解説していきます。「指標のおさらいをしたい!」「Amazonならではのレポート指標についてあまり知らないので深く理解したい!」という方は、必読です!
【Amazon広告の基本編】
第一弾:Amazonスポンサー広告まとめ 広告メニューの特徴と活用メリットを徹底解説!
第二弾:AmazonDSPの全てが丸わかり!
デジタル広告の一般的な指標
まずは、どんなデジタル広告でも、ほとんどの場合で確認することができる指標から見ていきましょう。
impression, CPM
1つ目は、「impression」に関する指標です。
impression自体は「広告が表示された回数」を表しており、デジタル広告の配信を評価する上で欠かせない指標です。
このimpressionに関する指標として一般的なものには、「CPM」があります。CPMとは、Cost Per Milleの略で、impression1000回あたりの広告単価のことを指します。
CPM=(広告費÷impression数)×1000で求めることができます。
広告のレポート指標には「CPC」や「CPA」など、各アクションに関する単価を表す指標が多くありますが、CPMのみ「1000回あたり」の広告単価を表しているので注意が必要です。
Click, CTR, CPC
デジタル広告において一般的な指標の2つ目は、clickに関する指標です。
click自体は広告が押下(クリック)された回数を表しており、こちらもデジタル広告の配信を評価する上で欠かせない指標です。
Clickに関する指標には、主に「CTR」と「CPC」があります。
CTRはClick Through Rateの略で、広告が表示された回数(impression)に対して、広告が押下された回数(click)の割合を指します。
求め方は、CTR=Click数÷impression数×100(%)です。
CPCはCost Per Clickの略で、クリック1回あたりの広告単価のことを指しています。
CPC=広告コスト÷クリック数で求めることができます。
impressionの数値からどれだけの掲載量の配信がされたか、clickの数値からどれだけ関心を持ってもらえたかを読み解くことができます。
たとえば、想定していたよりimpressionが出ていない場合、考えうる要因としては、自社の入札額が低い、競合他社が入札強化をはかった等などの要因が挙げられます。
またclickが少なく、CTRが低い場合などは、ユーザーの関心を引くクリエイティブを表示できていない可能性や、ターゲティング選定が上手くいっていない等の可能性が考えられます。
このように、一つ一つの指標から広告配信の結果を分析し、次にとるべきアクションを検討することができます。
impressionやclickに関する指標やその意味はご存知の方も多いと思いますが、デジタル広告を活用していく上ではかなり基本的な部分になるので、改めて押さえておきましょう。
〈まとめ〉
・impression:広告が表示された回数
・CPM(Cost Per Mille):impression1000回あたりの広告単価
CPM=(広告費÷impression数)×1000
・click:広告が押下(クリック)された回数
・CTR(Click Through Rate):広告が表示された回数(impression)に対して、広告が押下された回数(click)の割合
CTR=Click数÷impression数×100(%)
・CPC(Cost Per Click):クリック1回あたりの広告単価
CPC=広告コスト÷クリック数
Amazon広告を活用する上でポイントとなる指標
ここからは、Amazon 広告を活用する上でポイントとなる指標に触れていきます。
eコマース広告ならでは指標
AmazonはECモールであるため、Amazon広告ではeコマース広告ならではの指標が重要となります。
本項ではeコマース広告ならではの3つの指標について解説していきます。
eコマース広告ならではの指標の1つ目は、CVに関する指標です。
CVとは、コンバージョンのことを指しており、広告を経由して成果獲得に至った回数のことを言います。以下、本稿でのCVは「Amazonでの商品購入」を指すこととします。
計測タグを用いて計測することが一般的な中、Amazon広告においてはタグを設置することなく商品の購入を計測できる点が特徴です。
Amazon広告においては、管理画面上で、スポンサー広告では「注文数」「注文台数」、AmazonDSPでは「Purchase」「Units Sold」という項目がCVを表現しております。
どちらも前者が成果獲得の回数を、後者が成果台数を指します。
また、CVに関連する指標としては、主にCVR とCPAがあります。
CVRとはConversion Rateの略で、Clickに対してCVに至った比率を表しています。
求め方の式はCVR=CV÷クリック数×100(%)です。
CPAはCost Per Actionの略で、ユーザーのコンバージョン一回当たりの広告単価を指しています。
CPA=広告コスト÷CVで求めることができます。
CVRが低い場合、ターゲティングと訴求商品のミスマッチ、コンバージョンに至るまでのサイトの設計(UIなど)での課題、訴求商品自体の魅力や価格が、ユーザー需要と合わないなど、様々な要因を考えることができます。
CV関連の数値が悪い場合、広告運用の改善点と、商品ページのUI・メッセージングや訴求商品の在庫状況や価格など、広告/広告以外の両方の課題点を認識した改善策の検討が重要です。
eコマース広告ならではの指標として、広告経由の売上金額を確認することができます。
CV、売上に続いてeコマースにおいて重要な指標、それはROASです。
ROASはReturn On Advertising Spendの略で、広告の費用対効果を表しています。
「広告費用に対してどれだけの売り上げがあったのか」を評価するために用いられており、eコマース広告においてはKPIに設定することも多い指標の一つです。
計算式は、ROAS=売上÷広告コスト×100(%)で導き出すことができます。
ROASが100%で売上=広告コストの状態であり、ROASは数値が高いほど費用対効果が高いと言えます。
ROASの数値は、これまで見てきたCPM(掲載単価)、CTR/CPC(誘導率/単価)、CVR/CPA(購買率/単価)と、商品の価格という、複数の要因が絡み合った指標となります。
ROASが悪化している状況では、その原因がどこにあるのか、各指標ごとに分析することが重要です。
また、ROASは売上1つで数値が大きく変動しやすい傾向があります。
そもそも売上自体、購入者側の事情など不確定な部分が多く反映される指標でもあります。
特にまだ配信量の少ない配信序盤においては、ROASの数値変動に振り回されすぎないことが大切です。
〈まとめ〉
・CV(コンバージョン):広告を経由して成果獲得に至った回数
※本稿でのCVは「Amazonでの商品購入」を指す
※Amazon広告の管理画面上においては、下記の表記
スポンサー広告・・・「注文数」「注文台数」
AmazonDSP…「Purchase」「Units Sold」
・CVR(Conversion Rate):Clickに対してCVに至った比率
CVR=CV÷クリック数×100(%)
・CPA(Cost Per Action):ユーザーのコンバージョン一回当たりの広告単価
CPA=広告コスト÷CV
・ROAS(Return On Advertising Spend):広告の費用対効果
ROAS=売上÷広告コスト×100(%)
Amazon特有のレポート概念
ここからはAmazon特有のレポート用語・概念について解説していきます。
①Brand halo(ブランドハロー)/Total指標(ブランド合計指標)
Amazonのeコマース指標を理解するためには、まずBrand halo(ブランドハロー)という概念を理解する必要があります。
Brand haloとは、Amazon広告において、広告を経由して宣伝ASINと同ブランドASIN(宣伝ASINは除く)にコンバージョンがついた場合、それを広告経由で獲得したものとする考え方のことです。
例えば、図のように広告主がブランドAの中で、ASIN1を宣伝ASINとして広告配信を行ったとします。ここで、広告を経由してASIN1が購入されると、購入数が1、カウントされます。
ここまではいたって普通の計測スタイルです。
Brand haloでは、宣伝ASINと同じブランドのASIN、図で言うとASIN2~5のASINにおいて購入が発生した場合に、同ブランドについたコンバージョンとして宣伝ASINとは別に計測が行われます。
仮に宣伝ASINであるASIN1で商品が100,000円売れ、同ブランドASINであるASIN2~5が50,000円売れた場合、ブランド全体での売上が150,000円だったことがこの指標で確認できます。
Amazon広告では原則、eコマース指標の計測が、このBrand Halo の概念に基づいている点に留意する必要があります。
一部のAmazon広告で、ASINごとの売上や、訴求ASINの売上のみを確認することができます。
AmazonDSPでは、Brand Halo 計測の指標は「Total」指標と呼ばれます。
Total指標・Brand halo指標では、広告配信によって宣伝ASIN以外にも同ブランド商品にどのような影響があったのかを確認できるので、Amazon広告を利用する際はぜひ活用してみてください。
②New-to-Brand(ブランド新規顧客指標)
New-to-Brandとは、Amazonで対象ブランドの商品を初めて購入した顧客(ブランド新規顧客)からの、広告経由の購買や売上などを確認できる指標です。
過去12か月間の間、一度も対象ブランドの商品を購入したことがないユーザーが「ブランド新規顧客」と判断されます。
新規顧客と既存顧客、宣伝ASINに関する指標とBrand Halo指標の関係性は下記の図のようになっています。
このように宣伝ASINにおけるCVとBrand haloのCVにもNew-to-brand(ブランド新規顧客指標)が存在します。
本指標は、AmazonDSP、スポンサーブランド広告、スポンサーディスプレイ広告で確認することができます。
本指標ではブランドの新規顧客率が分かるため、「既存顧客の購入率が高い⇒新規顧客を増やすためにもアッパーファネル、ミドルファネルにアプローチできるAmazonDSPを活用しよう」などの現状の顧客の傾向や今後の施策を練ることも可能になります。
マーケティング施策を練る上でも非常に参考になる指標なのでこちらも使いこなしていきましょう!
AmazonDSP特有のレポート指標
AmazonDSPには、特有のレポート指標が複数存在します。
代表的なものでは、DPV(Detail Page View )に関する指標が挙げられます。
以前のAmazonの用語解説の記事でも触れましたが、AmazonのECサイトには、「商品詳細ページ」というページがあり、広告接触者がこのページへの訪問した回数を確認できるのがDPVです。
DPVに関する指標には、主にDPVRとCPDPVがあります。
DPVRはDetail Page View Rateの略で、広告のimpressionに対する商品詳細ページ訪問回数の比率を表しています。
CPDPVはCost Per Detail Page Viewの略で、DPV1回あたりの広告単価を指しています。
また、DPVにはViewベースのDPVとClickベースのDPVがあり、広告が表示されただけでClickはしていないがユーザー自ら商品詳細ページを訪れた場合、広告をClickして直接商品詳細ページを訪れた場合の2パターンで分けて分析することも可能です。
AmazonDSP特有の指標は商品詳細ページに関するもの以外にも、商品レビューページの閲覧や、リストへの追加、カートへの追加などに関する指標も確認可能です。
これらの指標一覧を表にまとめているのでぜひ確認してみてください。
広告配信を評価する上で、毎回これらすべての指標を確認することはあまり多くありませんが、ユーザーが商品を購入する際、どこのファネルまで来ているのかを確認する上で有用な指標となっています。
このようにAmazon広告にはAmazon広告ならでは広告指標や概念が存在しており、これらを使いこなすことで、正確に配信を評価できたり、今後講じるべき策を考えたりすることができるようになります。運用型広告のPDACを回す上でも各指標の理解と評価は欠かすことのできない重要なポイントです。
〈まとめ〉
・DPV(Detail Page View):広告接触者が「商品詳細ページ」に訪問した回数
・DPVR(Detail Page View Rate):広告のimpressionに対する商品詳細ページ訪問回数の比率
・CPDPV(Cost Per Detail Page View):DPV1回あたりの広告単価
おわりに
今回は基本的なデジタル広告のレポート指標をおさらいしつつ、Amazon広告ならではのレポート指標を解説してきました。
この記事をご覧いただいた方は、Amazon広告に対する理解をより深めていただけたのではないかと思います。
もし、Amazon広告の指標に関しておさらいしたくなった時は、この記事を思い出して読み返してみてください!
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