2023年6月Yahoo社よりYahooタグマネージャー(以下、YTM)を 2024年6月30日に終了することが発表されました。(詳細はこちら)これに伴い、今までYTMに設置していたタグは別のタグマネージャーへの移管が必要となります。
一方で『ツールを移管するだけなので、時間も手間もあまりかからないだろう』『まだサービス終了まで時間はあるので、後でやろう』と思っていませんか?
実はそんなことはありません。移管作業は想定以上に、手間も労力も要します。ギリギリのタイミングで着手すると期日までに移管完了できず、広告配信を停止せざるを得ない状態になってしまったり、計測ができなくなってしまったりといった事態に陥ってしまう可能性があります。そのような事態に陥らないよう、本記事では各フェーズごとに何をすべきかご紹介します。YTM を導入中の方、YTM を導入中の得意先をお持ちの方はぜひご確認ください。
※:2024/2/7更新:一部追記とDACで提供できるサービスについて詳細を更新しました。
※:2023/10/12更新:Yahoo!従来版タグの利用期限が2024年2月29日に延期されたのに伴い、記載を更新しました。
タグマネージャー利用における課題
タグマネージャーを移管するためにはどのようなステップを踏む必要があるのでしょうか。
まず必要なステップと流れについて、確認しましょう。
①.現状の確認(約2週間~)
②.断捨離(約2週間~)
③.移管準備(約1か月~)
④.タグの設置(約2か月~)
⑤.YTM ユニバーサルタグの削除(1週間~)
タグの量にも依りますが、少なくとも4か月~と考慮しておいたほうが良いでしょう。
※提示の期間は、あくまでも目安となります。
設置済みのタグのボリュームや、タグマネージャーを管理している関係者によって変動します。
次の項では、具体的な移管方法についてご説明します。
具体的なタグマネージャー移管の進め方
①現状の確認
まず移管にあたって、現状設定されているタグを確認する必要があります。YTMではエクスポート機能がありませんので、設定されているタグを一覧化してみることはできません。設置した内容を一覧化して管理していない場合、管理画面で1つずつ確認する必要があります。
②タグの断捨離
-なぜタグの断捨離が必要か?
次に必要なフェーズとして現在設置済みのタグの断捨離を行う必要があります。なぜ断捨離が必要かというと、以下のいくつかのポイントがあります。
タグマネージャーツールの容量
移管先として選ぶタグマネージャーによっては、容量制限があるものが存在します。例えば新たな移管先としてGoogleタグマネージャー(以下、GTM)を選択した場合、GTMには容量の制限があります。各コンテナの容量はタグ、トリガー、変数の設定量の合計で算出され、GTMを最適に動作させるための目安となります。上限は100%で、100%を超えての設定は不可能となっています。
移管にかかる期間と費用
不要なタグを断捨離せず、そのまま移管を行うと、移管するタグ量が多くなり、その分工数も膨らみ、時間を要します。
DACでもタグマネージャーの移管のサービス提供していますが、タグ本数に応じて移管料金が発生するため、移管するタグの量が多ければ多いほど費用も増大していきます。
今後も広告配信の実施の際、タグやトリガーの追加は避けられません。移管を好機ととらえ、タグの大掃除をし、すっきりとした環境で今後の運用をしていきましょう。
③タグの移管準備
タグの断捨離ができたら、つぎは移管の準備です。YTM終了後、別のタグマネージャーツールを選択する必要性が出てきます。移管するツールの選定後、アカウント開設や対象のページへ移管先のタグマネージャーにタグの設置を進めましょう。DACでは、無料でツールが利用可能な点、CAPI(コンバージョンAPI)対応テンプレートがありポストクッキー対応も出来る点から、GTMの利用をおすすめしています。
④タグ設置
-移管のスケジュールについて
タグの移管は通常のタグ設置と異なり、まとめて設定することになります。それ故、ボリュームも多くなり、タグの設置完了には時間を要します。タグマネージャー利用における課題で記載していますが、各ステップ毎に時間がかかり、すべてのタグを移行するのに約4ヶ月~かかることを認識しておきましょう。YTMサービス終了間際に移管を開始しても、移管が完了しない可能性もあるので、早めの対応がカギとなります。
⑤YTMユニバーサルタグの削除
タグの移管が完了したら、YTMで設置しているタグは停止および削除し、サイトからユニバーサルタグを削除しましょう。
※Yahoo社より2024年6月30日の機能停止後もユニバーサルタグを設置したままの場合、サイトの表示速度に影響することがあるとリリースされていますので、削除し忘れにはご注意ください。 詳細はこちら。
スムーズな移管のカギを握る2つのポイント
ここまでタグマネージャーの移管ステップについてご紹介してきましたが、スムーズな移管を行う上で、特に重要な2つ「タグの断捨離」と「タグ移管準備」のポイントについてご紹介します。
◆「タグの断捨離」を行う際のポイント
タグの断捨離を行う際、利用しているかどうかわからないタグなど判断に迷うことが出てくると思います。そんな際は、以下の点をポイントにし、不要なタグやURLの精査をしていきましょう。
また同じタグマネージャーを複数の広告会社で使用していたり、誰が設定したのか不明なタグが出てくる場合もあります。確認者(出稿している広告会社がクライアントに確認するなど)を決めておき、他代理店が運用しているタグを勝手に断捨離しないようにしましょう。
※:Yahoo!従来版タグの利用期限が2024年2月29日に延期されたのに伴い、記載を更新しました。
◆タグの移管準備を行う際のポイント
またタグの中には、今までYTMに設定していたタグの設定内容をそのまま移管できないタグもあります。タグの発火条件がURLのみでなく、イベントハンドリング(ボタンクリックやスクロール等)などを用いていた場合や動的タグで変数を取得している場合などは、各ツールで実装方法が異なるため、YTMの内容をそのまま移管することはできません。改めて発火の要件や取得している内容を確認し、各タグマネージャーツールに準じた設定が必要となります。
移管に伴い確認すべきポイントは以下の通りです。
1)タグに発火条件がついているか
管理画面で、タグ実行条件に設定されている内容があるか確認します。条件が付いている場合、設定内容から発火したいポイントを読み解くことは不明瞭です。改めて対象のページやポイントなど、タグの発火ポイントを確認しましょう。
2)タグで変数取得を行っているか
管理画面で、サービス提供元やタグ名などに、ダイナミック広告と判断できる媒体社名 (Criteo、GDR、Facebook Advanced Matching等)の確認をしましょう。
動的に値を取得しているタグは、移管するタグマネージャーの仕様に合せた実装が必要となります。また設定時とページの仕様変更などの可能性もあるので、対象のページ、取得項目など要件の再確認を実施しましょう。
タグの本数が多く、どこから手をつけていいかわからない場合は、優先して移管したい媒体の順序を決め、媒体毎に絞ってタグの移管準備を進めてみましょう。
DACで提供可能なサポート
DACではタグ全般に関わるサポートを行うサービスを提供しています。
YTM提供終了に伴うタグマネージャー移管作業もサポートを行うことが可能です。
◆ワンタグコンバーター
例えば、ステップ①の「現状の確認」は、手作業で行わらなければならず、非常に非効率な作業となりますが、DACで提供している「ワンタグコンバーター」を利用すれば効率的に行うことが可能です。ワンタグコンバーターはタグマネージャーに設定されたタグの詳細情報を、管理画面からエクスポートして一覧化することが可能なため、こちらを活用することでYTMに設置しているタグの一覧化が可能となります。(ワンタグコンバーターの詳細はこちらをご覧ください。)
またワンタグコンバーターを使用することで、タグの実行回数(過去45日間)の情報も確認可能です。重要なステップとしてご紹介したタグの断捨離において、実行回数が確認できることで断捨離もしやすくなります。
◆【Yahoo!広告従来版タグ検知】ワンタグコンバーター
「タグの断捨離」を行う際のポイントに記載している Yahoo!広告従来版タグ(以下、従来版
タグ)ついて、DAC で提供している【Yahoo!広告従来版タグ検知】ワンタグコンバーターを
利用すれば YTM アカウント内に従来版タグが設置されているか検知することが可能です。
従来版タグは 2024 年 3 月(予定)以降データの蓄積ができなくなるため、リニューアル版タ
グに差し替える必要があります。
関連ページ
まとめ
ご紹介した通り、 タグマネージャーの移管は、時間も労力も要します。タグの管理方法の見直しやタグの断捨離などを行うことをきっかけとして、今後のタグ運用をより良いものにしていきましょう。
DACではワンタグコンバーターをはじめ、タグにまつわるサービスを「TagMasters」として提供しています。今回今回ご紹介した内容以外にも、タグに関する様々なご相談を承っています。お困りの課題をお持ちの際は、ぜひお問い合わせください。