「これまでデジタルマーケティングを専門に扱ってきたが、
クライアントからテレビCMとの統合的な効果を見られることが増えてきた…」
「これからデジタル広告だけでなくテレビCMもあわせて提案できるようになっていきたい」
「マーケティング担当として、まずはテレビCMについて学びたい」
といった皆様のお声にお応えしまして、全3本の連載で
テレビCMのキホンのキをお伝えします!
関連ページ
第一弾:テレビCMキホンのキ 放送局編
第二弾:テレビCMキホンのキ バイイング編
DACでは、デジタルとテレビの統合プランニングを推進し、より広告主の皆様に最適な広告施策をご提案できるよう、デジタルに留まらずご提供できるソリューションの幅を拡大しております。
連載第三弾では、視聴率編についてお伝えします。
☞本記事のポイント
✓テレビCMの取引には、ビデオリサーチ社が提供する視聴率データが採用されている。
✓この視聴率データはPM式という方法で測定され、全国32地区10,700世帯からの情報を集計したものである。
✓世帯視聴率と個人視聴率があり、それぞれにリアルタイム視聴率とタイムシフト視聴率がある。
✓個人全体視聴率は世帯視聴率よりも低く現れることが多く、半分程度になることもある。
✓2022年4月からはテレビCMの取引指標に「P+C7」が導入され、これまでの世帯に対してでなく、個人を想定したテレビCM施策が可能となった。
視聴率とは
テレビ番組やCMがどのくらいの世帯や個人に見られたのかを示す数値を、視聴率といいます。
視聴率はテレビの媒体力や広告効果を測る指標として使われますが、その利用用途に応じてデータの種類が異なります。
ビデオリサーチ社により提供されている「カレンシーデータ」は、テレビの広告取引に用いられています。現在のテレビビジネスの根幹となる取引指標です。
スイッチメディアラボ社やインテージ社などのデータベンダーが提供する「マーケティングデータ」は、広告主のマーケティング活動に用いられています。
本記事では、視聴率データのうち「カレンシーデータ」について述べていきます。
視聴率の測定方法と規模
視聴率はPM式(PM:ピープルメーターの略)と呼ばれる方法で測定しています。
調査対象世帯には特別なテレビリモコンとピープルメーターが配置されています。リモコンで自分用のボタンを押してからテレビを操作することで、テレビに設置されたピープルメーターがビデオリサーチ社にデータを送信するという仕組みです。
これによって世帯はもちろん、個人のテレビ視聴率も測定できるというわけです。
調査は全国32地区の全ての放送エリアで行われ、10,700世帯が対象になっています。日本の総世帯数約5,500万世帯に対して少なく感じるかもしれませんが、ウェイトバック集計をかけることで統計的に補正をかけるなどの工夫がされています。
ただし、あくまで統計的な手法で補正しているので、調査の精度には多少のブレがつきものです。詳細はこちらをご確認ください。
参照:ビデオリサーチ社「視聴率をご覧いただくときの注意事項」
https://www.videor.co.jp/tvrating/attention/
テレビ放送局では、このビデオリサーチ社が集計した視聴率データをテレビCMの販売通貨として定め(=カレンシーデータ)、広告枠の販売をおこなっています。
参考:
・ビデオリサーチ社「全放送エリア・365日・個人単位」でテレビ視聴データの提供を実現~新たに山梨/福井/徳島/佐賀/宮崎 地区で新視聴率調査開始~
https://www.videor.co.jp/press/2021/210705.html
・ビデオリサーチ社「視聴率」
https://www.videor.co.jp/service/media-data/tvrating.html
・マクロミル社「ウエイトバック集計」
https://www.macromill.com/tabulation/knowledge/weightback.html
世帯視聴率と個人視聴率
視聴率には、世帯視聴率と個人視聴率という指標があります。
世帯視聴率とは、テレビ所有世帯のうちどのくらいの世帯が該当チャンネル(番組、CM)をつけていたかを示す割合です。
個人視聴率とは、4歳以上の世帯内個人全員の中で、何人が該当チャンネル(番組、CM)を視聴したかを示す割合です。
個人視聴率にも対象世帯に住む人口が母数となる個人全体視聴率と、ターゲットごとの人口が母数になる個人視聴率とがあります。ターゲットには性別や年代のくくりが使われることが多く、女性20〜34歳が母数となるF1視聴率、男性35〜49歳が母数となるM2視聴率などのように使われます。
視聴率の数値は世帯視聴率>個人全体視聴率のような関係になることが多いという特徴があり、場合によっては半分程度になることもあります。
また、世帯視聴率と個人視聴率にはそれぞれにリアルタイム視聴率とタイムシフト視聴率があります。
リアルタイム視聴率:リアルタイム視聴を示す指標。
タイムシフト視聴率:リアルタイム視聴の有無にかかわらず、168時間(7日間相当)以内の録画再生での視聴を示す指標。
近年では録画機に見逃した番組を録りためて、移動中や仕事や学校が終わった後、休日などにまとめて好きな番組を視聴するという視聴スタイルも増えてきています。
タイムシフト視聴率を用いることによって、このような視聴方法の計測にも対応できるというわけです。
カレンシーデータは「世帯視聴率」から「P+C7」へ
これまでキー局や準キー局などの一部の放送局を除く地域では、主に世帯のリアルタイム視聴率がテレビCM取引のカレンシーデータとして使われてきましたが、2022年4月からは全国の放送局で、個人全体のリアルタイム視聴率とタイムシフト視聴率を組み合わせた、「P+C7(ピー・プラス・シーセブン)」という指標が使われるようになりました。
個人視聴率やタイムシフト視聴率を用いることで、「いつ」「誰が」「どんな番組を」視聴したのかが明らかになります。これによって、テレビCMにおいてより視聴実態にもとづいた取引が可能となり、ターゲット個人を想定したプランニングがおこなえるようになりました。
まとめ
今回は「視聴率とは何か」についてご紹介しました。
テレビ広告はデジタル広告に比べるとレガシーなイメージを持つ方も多いかもしれませんが、今回ご紹介したように、時代に即した計測ができるようになっています。
これにより、テレビCMも運用型の時代へ、と語られるように、よりターゲットを意識したプランニングや施策実行ができるようになってきています。
DACでは広告会社の皆様と並走しながらテレビとデジタルのPDCAを高度化できるよう、ご支援いたします。
ご興味がございましたら、是非お問い合わせください。