「これまでデジタルマーケティングを専門に扱ってきたが、
クライアントからテレビCMとの統合的な効果を見られることが増えてきた…」
「これからデジタル広告だけでなくテレビCMもあわせて提案できるようになっていきたい」
「マーケティング担当として、まずはテレビCMについて学びたい」
といった皆様のお声にお応えしまして、本記事から3本連載で、
テレビCMのキホンのキをお伝えします!
DACでは、デジタルとテレビの統合プランニングを推進し、より広告主の皆様に最適な広告施策をご提案できるよう、デジタルに留まらずご提供できるソリューションの幅を拡大しております。
連載第一弾では、放送局のしくみについてお伝えします。
☞本記事のポイント
✓地上波の民放テレビ放送局は127局あり、「キー局」「ローカル局」「独立県域局」に分けられる。
✓テレビ放送局はネットワークを組んでおり「キー局」と「ローカル局」が連携して番組を放映している。
✓ネットワークを形成する理由は「報道機関としての体制構築」「番組の安定供給」「営業収入の確保」である。
✓放送局は、週のCM総量が総放送時間の18%以内になるように自主規制しており、
CMの枠の価値を高める(より多くの視聴者を集める)ため番組制作に力を入れている。
テレビ放送は大きく5つに分けられる
テレビ放送は放送方法(伝送路の種類)によって以下のように分類されます。
本ブログでは地上波放送について掘り下げます。
地上波放送は、収益構造の違いにより、さらに公共放送と民間放送の2種類に分けられます。
受信料を主な収益源としている公共放送には、NHK総合とNHK-Eテレの二局があります。NHKは各地に地方局を置き全国共通の番組と地方局作成の番組を放送しており、その費用のほとんどを受信料収入で賄っています。
民間放送(民放)の収益源には放送収入(広告枠売上)と放送外収入(イベント、放映権取引、グッズ販売など)があり、その大多数を占めるのが放送収入です。番組内の広告枠で企業のCMを流し、その枠の売上を番組制作や放送の費用としています。
テレビ局の放送ネットワーク
民間放送(民放)のテレビ放送局は全国で127局あり、「キー局(・準キー局)」「ローカル局」「独立県域局」の3つに分けられます。
(キー局+ローカル局:114局、独立県域局:13局)
キー局とは全国ネットワークの中心となる放送局のことで、事業規模が大きく、多くの番組を発信しています。
キー局とローカル局はネットワークを形成しており、キー局が作成したドラマやニュース番組を全国で放送することを可能にしています。
日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京の在京5局は「(系列の)キー局」、次に事業規模の大きい大阪、名古屋の10局は「(系列の)準キー局」、最後に全国各地に散らばる(系列の)ローカル局、という順に繋がっています。
その他に、複数の系列に属する「クロスネット局」が3局、どの系列ネットにも属さない「独立県域局」が13局あります。
国内放送局の構成
系列のキー局、順キー局
各エリアの系列局一覧(東北、関東の抜粋)
(日本民間放送連盟HPより抜粋)
このネットワークによって全国に放映される番組のことを「ネット番組」、特定のエリアでしか放映されない番組を「ローカル番組」と呼びます。
詳しくは、連載第二弾「テレビCMの種類と買い方」で紹介しますが、タイムCMにおけるネットタイム枠とローカルタイム枠はこれに対応しています。
例えばキー局でネットタイム枠を買うと系列各局でもCMが放送されますが、ローカルタイム枠を買うとキー局のローカル放送圏内でしか放映されないということになります。
テレビ局がネットワークを形成している理由
民放各局が系列ネットを形成するメリットは主に以下の3点にまとめられます。
1「報道機関としての体制構築」
民間放送局は地域ごとに電波を割り当てられているため、1局で全国すべての報道業務をカバーすることができません。
そこで「ニュースネットワーク」を組み、取材や素材収集を地域ごとに分担し、キー局が代表で番組を編集したのちに系列各局で放送する、という形で全国に届けるべき報道番組を制作しています。
2「番組の安定供給」
地方の小さな放送局が24時間、365日、自局ですべての番組制作を行い放送することはコスト面での限界があります。
そこで、経営体力や制作機能、スタッフが充実しているキー局や準キー局が中心となりメインの番組を制作しています。
局によって違いはあるものの、19時~22時のゴールデン帯や19時~23時のプライム帯を始めとした最も視聴率が取りやすいとされている時間帯は、キー局の制作番組を放送することが多いようです。
3「営業収入の確保」
より多くの放送収入を得るためには、広告主となる企業に、よりスケールの大きな放送枠でのCM放映をしてもらう必要があります。
そこで、ネットタイムセールスというセールス手法が生まれました。
全国放送の番組において、放送する局それぞれがCM枠の営業を行うのではなく、番組を制作した局が自らセールスを行い、その売上を系列ネットワークに配分するという仕組みです。
系列局すべてで同じCMを流せるということをセールスポイントとして、全国一斉にCMを流す必要のある大企業にスポンサーについてもらうことで、より多くの放送収入を得ることができるようになりました。
ネットタイムセールスは、各局の営業収入の大きな柱となっています。
広告収入とよりよい番組作り
ではここで、民間放送において最重要要素ともいえる、テレビCMの役割について図解してみましょう。
視聴者は、好きな番組とCMを無料で視聴することができます。
広告主は、視聴率などの番組の価値を示す指標をもとにどの番組に広告を出すかを決め、商品やサービスの宣伝のために広告枠を購入します。
民間放送局は番組を作りCMとともに放送することで、広告主から広告料を受け取ります。
単純に考えれば、CMをたくさん放送すれば放送局の収入は増えます。
しかし、CMの多い番組は視聴者にストレスを与えてしまうため、視聴率が下がったり、番組や局のみならずテレビそのものの魅力が低下してしまうことが考えられます。
そこで放送局は、週のCM総量を「総放送時間の18%以内」におさめるように自主規制を設けています。
CMを流せる量に限りがある中で放送収入を増やすには、広告枠の商品価値を高める、つまり番組視聴率を上げる必要があるということになります。
各放送局がよりよい番組を作り続けることで、視聴者・広告主・放送局の関係性が安定するというわけです。
まとめ
テレビCMを出稿する際には欠かせない、放送局についてご紹介しました。
また、記事では主に地上波放送について紹介しましたが、BS放送やCS放送にもCM枠があり、DACではそれらも含めたTVCMの買付や施策実行のご支援が可能です。
ご興味がございましたら、是非お問い合わせください。