「プライバシーテック」という言葉を聞いたことはありますか?
昨今、個人情報保護法や電気通信事業法の改正により、プライバシー保護に関する規制が強化されています。
本記事では、プライバシー保護への対応策として注目されているプライバシーテックとは何か、プライバシーテック市場の動向予測から見るプライバシー対応の重要性についてまとめました。
プライバシーテックとは
IT技術の進歩により、現在ではさまざまな分野でIT技術、テクノロジーの活用が進んでいます。
プライバシーテックもその1つであり、野村総合研究所の「ITナビゲーター2022年版」によると、「プライバシーテックとは、企業や行政機関などが、消費者や従業員のプライバシーを保護するために利用するソリューションサービスである」としています。
プライバシーを保護するための技術、またその技術を活用したソリューションの総称と言えます。
ユーザーから取得した同意の管理や、ユーザーからの開示等請求への対応など、法令の遵守やユーザーのプライバシー保護のために利用されるソリューションはプライバシーテックに含まれるとされています。
具体的なソリューションやサービスでは、例えば、クッキー利用の同意管理を行うクッキー同意管理バナー・CMP(Consent Management Platform)や、個人情報が保護された環境でのデータプラットフォームなどが挙げられます。
プライバシーテックの市場規模
では、プライバシーテックの市場規模はどのようになっているのでしょうか。
第324回NRIメディアフォーラム「ITナビゲーター2022年版」では、日本におけるプライバシーテック市場の予測を出しています。
ここでは、法令の遵守やユーザーのプライバシー保護のために利用されるソリューション・ツールに加えて、導入後も定常的に利用されるまでに必要なコンサルティングサービスも含めて、プライバシーテック市場としています。
上のグラフからも分かるように、プライバシーテックの市場規模は、2027年には1,073億円に上り、右肩上がりに拡大していくと予想されています。
内訳をみると、コンサルティングサービスの市場は300~400億円で推移するという予測であるのに対し、ソリューションサービスの市場は、2023年の121億円から4年後の2027年には5倍以上の規模になるという予測が出ており、注目されている市場であると言えるでしょう。
※参照:第324回NRIメディアフォーラム「ITナビゲーター2022年版」(p.78)
なぜプライバシーテックが注目されているのか:プライバシー対応の重要性
上記の市場予測からも分かる通り、プライバシーテック市場は今後も注目が高まっていくと予想されます。
では、なぜプライバシーテックが注目されているのでしょうか?
海外の法律(GDPRやCCPAなど)によるプライバシー保護規制の強化の流れを受けて、日本においても個人情報保護法や電気通信事業法が改正され、新設された規制に対する適切なプライバシー対応が求められていること、プライバシー対応の重要性が高まっていることが、理由の1つとして挙げられます。
2022年4月に施行された改正個人情報保護法では、個人関連情報(※)が新設され、ユーザーの位置情報やクッキー等の識別子を通して収集されたWebサイトの閲覧履歴などが、個人関連情報に含まれることになりました。
個人関連情報は、個人情報ではないものの、個人関連情報を第三者に提供する際に、その情報が提供先で個人データとなることが想定される場合には、ユーザーからの同意確認が義務付けられています。
(図)同意取得の必要有無の整理
(※)個人関連情報とは、生存する個人に関する情報で個人情報、仮名加工情報及び匿名加工情報のいずれにも該当しないものと定義されている
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また、2023年6月には改正電気通信事業法が施行され、電気通信事業者などに対して利用者情報の外部送信(利用者以外への送信)に関する規制が新設されました。
Webサイトやアプリを利用する際に、利用者の端末に保存された閲覧履歴やシステムログ、クッキーなどの情報を、Webサイト運営者・アプリ提供事業者もしくはそれ以外の第三者に外部送信する場合には、外部提供の事実を利用者に通知、または容易に確認できるようにする必要があります。
(図)外部送信規律で求められる対応措置
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このように、これまで規制されていなかったクッキー等のデータ活用におけるプライバシー保護が強化され、ユーザーへの同意や通知などの対応が必要となりました。
クッキーは、ターゲティング広告の配信や効果測定、データの管理などに利用されており、インターネット広告のエコシステム上で重要な構成要素です。クッキー等のデータを活用した広告施策・データ分析などを行っている企業にとって、プライバシーへの対応は、より重要性が高まっていると言えるでしょう。
一方で、データ活用に伴うプライバシー対応は、法律×IT×マーケティングの知識を要するため、どのように対応すべきなのか、対応方法の検討に課題を持っている企業が多く見受けられます。
このような背景から、専門的な知識を持ったプライバシー対応のコンサルティングサービスや、同意や通知などに対応するソリューション・ツールの導入、といったプライバシーテックの需要が拡大していると想定されます。
※参考:
・令和2年改正個人情報保護法 特集 |個人情報保護委員会
・総務省|自分に関する情報が第三者に送信される場合、 自身で確認できるようになります。(外部送信規律について)
どのようなプライバシー対応をすべき?データプライバシーコンサルティングサービス
どのようなプライバシー対応をするべきかは、扱うデータとその取り扱いによって企業ごとに異なってきます。
そこでDACでは、各企業ごとに最適なプライバシー対応を提案する、データプライバシーコンサルティングサービスを提供しています。
DACのデータプライバシーコンサルティングサービスでは、
最新の法規制に関する勉強会の実施から、現状整理をもとに必要な対応のご提案を行い、CMPツールや電気通信事業法に対応する通知・公表ツールの導入まで、一貫してサポートしています。
最新の法規制の内容と、データプライバシーコンサルティングサービスの具体的な内容については、以下資料にまとめていますので、ぜひダウンロードいただきご活用ください。
また、DACが取り扱っているクッキー同意管理バナー(CMPツール)や、通知・公表ツール(電気通信事業法対応)については、データプライバシー対応ツール紹介資料にまとめています。
具体的な実装方法や利用開始までのタイムライン、ツール別の特長も記載していますので、ツールの全体像を把握したい・各ツールを比較したい、という方は、
データプライバシー対応ツール ご紹介資料をご確認ください。
まとめ
プライバシーテック市場の動向からも、プライバシー対応の重要性が高まっていることが見えたのではないでしょうか。
プライバシー対応は、企業の信頼度・レピュテーションリスクの観点からも大切です。
現状の対応に問題がないか、適切な対応ができているのか、といった不安がある方など、プライバシー対応について課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。