2024年1月に「Yahoo!検索連動型ショッピング広告(SSA)」がローンチされました。自社ECサイトを展開する事業会社の集客・売上に寄与する広告メニューで、Yahoo!検索エンジン上で、ユーザーの検索キーワードに応じて、関連する商品がレコメンドされ、直接自社ECサイトへアクセスできる仕組みとなっています。
本ブログでは、昨今需要が高まる“検索連動型ショッピング広告”の特長を整理するとともに、今回ローンチされた「Yahoo!検索連動型ショッピング広告(SSA)」について徹底解説します。
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>> アーカイブ動画|ついに登場!Yahoo! 検索連動型ショッピング広告とは?導入から運用までのポイントを徹底解説
なぜ今、“検索連動型広告”が注目されるのか
自社ECの集客・売上を最大化するメニューが続々とローンチ
ECの需要が高まるなか、Amazonや楽天などのECモールの需要拡大とともに、利益率やブランディングの観点から自社ECの構築・運営に注力する事業会社も多くみられます。こうした中、自社ECはECモールと比較すると “集客“の施策を自社で行うことが必要不可欠となります。
GoogleやMetaなどの各プラットフォームでは、自社ECサイトへの効果的な集客に寄与する新規メニューを続々とローンチしており、自社ECの集客・売上最大化の施策は多様化しています。
今回ご紹介する「Yahoo!検索連動型ショッピング広告(SSA)」もそのひとつであり、顕在層に対して、自社の商品を効果的に訴求できる“検索連動型広告”にカテゴライズされます。
自社ECの施策における検索連動型広告の役割
2023年度の日本のインターネット広告媒体費の分析において、検索連動型広告は前年比で約110%の1兆729億円と、1兆円を突破(※1)する市場規模に成長しています。
また、10年ほど前にローンチされた商品を画像付きで訴求できるGoogle検索連動型ショッピング広告は、いまやEC事業会社のほとんどが利用しています。
Googleショッピング広告の特長として、
・テールワードの検索表示に対する商品レコメンドにより、新規ユーザーの流入が70%を超える
・購入意欲が高いユーザーの流入により、従来パフォーマンスが高いとされるリスティング広告と比較しても購入率が140%高い
など、実績からみてもブランド非認知層や購入意欲の高い層にアプローチできるメニューといえます。
こうしたなか、今回「Yahoo!検索連動型ショッピング広告(SSA)」がローンチされ、Googleに次ぐ利用者数を誇るYahoo!の検索エンジン上で、検索連動型ショッピング広告が利用可能となりました。次の章からその特長を深堀りしていきます。
※1:参照:「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」
Yahoo!検索連動型ショッピング広告(SSA) の仕組みと特長
Yahoo!検索連動型ショッピング広告(SSA)について
Yahoo!の検索結果表示のリニューアルにより「コマース検索モジュール」という枠が登場しました。下記のイラストにある通り、「冷蔵庫」と検索すると、リスティング広告→自然検索結果→コマース検索モジュールの順に表示がされます。
このコマース検索モジュール上では、検索キーワードに応じて、あらゆる自社ECサイトで販売される商品が関連度が高い順に表示されます。
この「コマース検索モジュール」の最上位の枠に自社で販売する商品を表示できるのが「Yahoo!検索連動型ショッピング広告(SSA)」です。現在はスマートフォンのみに提供されているCPC課金の運用型広告メニューとなります。
SSAと同時掲載される「Yahoo!JAPAN商品情報掲載」
最上部以下の掲載面は、「Yahoo!JAPAN商品情報掲載」という枠で提供されており、成果報酬型・CPA課金のメニューとなります。「Yahoo!検索連動型ショッピング広告(SSA)」のように入札強化などは行えず、あくまでもユーザーの検索キーワードと商品情報の一致率などに応じて商品が表示されます。
Yahoo!検索上で、自社商品の表示やサイトへの誘導を最大化するためには、視認性の高い“良い棚"を獲得することが重要であり、「Yahoo!検索連動型ショッピング広告(SSA)」の効果的な運用が成功のカギとなります。
SSAの特長と期待される効果
Yahoo!は日本国内のシェアが第2位の検索エンジンであり、国内のユーザーへのアプローチに強みを持ちます。
また、前段でお伝えしましたが、先行して展開するGoogle検索連動型ショッピング広告は、ブランドの非認知層に画像付きで訴求できることから、実績からみても集客・売上効果が高いメニューとなっています。そのため、Googleに次ぐ利用者数を誇るYahoo!をあわせて活用することで、同様の効果の更なるリーチ拡大が期待されます。
さらに、Yahoo!検索エンジンを利用するユーザーの特長として、30~60代が中心となっており、購買力の高い層が占める割合が多いため、eコマースとの親和性が高いとされており、その点でも自社ECサイトへの新規の集客・売上への寄与が見込まれます。
Yahoo!検索連動型ショッピング広告(SSA)活用のポイント
SSAの配信に必要な4つのもの
SSAを開始するためには、下記の用意が必要になります。
・Yahoo!広告アカウント:広告運用の管理ツール。予算設定や入札調整を行う。
・CVタグ:ECサイトの購入完了ページに設置する媒体タグ。
・LINE Merchant System:SSAに掲載する商品を管理するツール。
・商品データフィード:商品情報を送信するためのファイル。
SSAを配信するにあたっては、まずSSA専用のYahoo!広告アカウントを開設し、そこで発行されるタグを自社ECサイトに設置する必要があります。また同時に、LINE Merchant Systemを開設の上、商品データフィードを連携して、商品の登録・更新を行います。最後に、Yahoo!広告アカウントとLINE Merchant Systemを連携することで、SSAへの配信が可能となります。
SSAの特殊な実装要件について
SSAを活用するにあたり、開始準備の段階で注意すべきポイントを2つお伝えします。
① 商品データフィードは“JSON”形式
他媒体では、CSVやTSVに対応している場合が多く、Excelで商品情報を入力して、保存する際にCSVやTSVに変換して出力することが可能です。一方で、SSAはJSON形式で出力する必要があります。聞きなじみのない方もいらっしゃるかと思いますが、JSONの仕組みやルールを理解したうえで、商品情報を記述する必要があります。
また、ファイル名についても、他媒体では固定かつ任意のファイル名でアップロードすることができますが、固定値+アップロードする年月日時分を動的に命名する必要があります。
(例:line_product_feed_all_202405312100.json.gz)
よくある問い合わせとして「Googleショッピングなど、他媒体の商品データフィードが利用できるますか?」と聞かれることが多くありますが、「流用することはできないため、SSA専用のデータフィードを作成する必要があります。」という回答となります。
これらの点を踏まえると、手動でのファイル作成や更新は難しく、データフィードシステムを利用した実装が前提となっています。
② タグはコードを貼り付けるだけでなく“動的な値”を取得する
SSAのタグでは、CVの計測の際に、“注文ID” “注文商品” “注文数” “注文金額”といった、各注文で動的に変動する値を取得する“動的タグ”の実装が必須です。SSAと同時掲載される「Yahoo!JAPAN商品情報掲載」の成果報酬型の掲載枠では、このタグから取得するデータに基づいて請求がされるため、配信前に、各項目が正しく取得できているか、媒体の事前審査が行われます。
このように、SSAに配信必要不可欠な商品データフィードとタグの準備においては、特殊な設計と実装が必要になる点について理解が必要です。
SSAの配信効果を高める方法
SSAでは、ユーザーが検索キーワードと商品情報の関連性により、商品陳列の優先度が変化する仕組みとなっています。そこで、重要となるのが商品データフィードです。
同じ商品であっても、商品データフィードに含むキーワードが少ない場合には、関連性が薄いと判断される可能性が高く、一方で、多くのキーワードを含む場合には、親和性の高いユーザーへの表示機会が高まる可能性が高くなります。
例えば、検索エンジンで「ランニングシューズ」を探すシーンを想像すると、「ランニングシューズ 軽い」「ランニングシューズ 初心者」など、商品の特長を入力するケースが多いなか、そのような特長をタイトルや説明文などにしっかりと入れることが重要です。
また、検索機能として、カラーで絞り込むこともできるので、データフィードのカラー・サイズ・素材などに、しっかりと詳細な情報を入れておくことも表示機会の最大化に繋がります。
このように、配信効果を高めるためには、管理画面での入札調整と並行して、データフィードの運用改善が必要になります。
おわりに
Hakuhodo DY ONEのCROSS COMMERCE Studioでは、自社ECの施策推進をトータルで支援する専門組織を構えています。当然ながらSSAの特殊な要件を踏まえた実装支援が可能です。
「Yahoo!検索連動型ショッピング広告(SSA)」にご興味をお持ちの企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。