【Amazon基本編】3大ECモール「Amazon」をマーケティング施策に活用するためにおさえておくべきこと

 2022.08.22  星野 萌

「Amazon基本編」と冠し、数回に渡り、メガECモール「Amazon」の魅力をお届けします。
第一弾は、一度は利用したことがあるという方も多い「Amazon」というECモールが、いかに大きな売り場であり、媒体メディアとしてどんな強みを持つのかと、そのAmazonのプラットフォームの強みをフル活用できるAmazon広告について、概要を解説していきます。

「『Amazonが凄いらしい』というのはもちろん知っているけど、
マーケティング戦略を考える上で、どれだけ重要かのイメージが湧かない」
「Amazonで広告出稿やマーケティング施策を検討したい(している)」
という方は、ぜひお読みいただき、ご参考ください!

物販系ECの国内市場

まず、ECモールAmazonについての具体的な解説に入る前に、Amazonを含む物販系ECが国内市場でどのような状況にあるかについて少しだけ触れておきましょう。

富士経済の調査によると、2021年の国内の通販市場の規模は14兆4645億円、そのうちECが12兆6295億円と9割近くを占めています。コロナ禍での需要もあり、近年物販系通販の市場は拡大の一途を辿ってきました。また、2022年は更なる通販市場、EC市場の成長も見込まれており、今後も注目すべき市場の一つです。

物販系ECの国内市場

こうした成長市場において存在感を高めてきたAmazonがどんな特徴を持つのかについては、ぜひ押さえておくべきでしょう。
では、次項からAmazonの特徴や他ECモールとの違い、利用できる広告プロダクトなどを学んでいきましょう。

 

ECプラットフォーム「Amazon」の概要

Amazonとは?

それでは本題に入っていきます。
まずECというものは大きく分類すると自社ECECモールの2つに分けることができるのですが、今回解説していくAmazonは後者のECモールにあたります。
AmazonはUS発のECモールですが、今や世界中で利用されており、日本でも数億種類の品揃えを誇る最大級の総合オンラインストアに成長しています。
加えて、AmazonプライムビデオやAmazon music、Amazon payなどEC事業以外にも力を入れ、幅広いサービスを展開しています。

Amazonとは?

Amazonのメディアパワー

Amazonは、日本国内でもECモールとしての確固たる地位を確立しており、その規模感から、1つのメディアとして見られるほど存在感が増してきています。

Amazonのメディアパワー

Amazonのメディアパワー

日本国内メディアのユニークビジター数ランキングを見てみると約5,400万人で、国内メディアのモバイルサイトではECモールでありながらTwitterやInstagramなどを抑えて6位に位置しています。
デスクトップにおいては約1,125万人で、モバイルと同じく6位です。
特にモバイルにおいては、60%を超える非常に高いリーチ数を誇ることから、単なるECサイトとしてだけではなく、膨大なユーザーを抱える1つのプラットフォームメディアとしても捉えることができるでしょう。

このように、ECとしてのAmazonメディアとしてのAmazonという両面を捉えることこそがAmazonを深く知る上で最も重要なポイントとなります。

また、ユーザー層の傾向について、モバイルでは女性、デスクトップでは男性の割合が高く、年齢層もモバイルとデスクトップで若干の違いはありつつも、比較的ユーザーの年齢や性別に大きな偏りがないところが特徴です。

 

Amazonでも起こるモバイルシフト

昨今、デスクトップからモバイルへとオンラインショッピングの利用形式が変化してきています。
最近では、オンラインショッピングをする際、PCのみを利用して注文を完結する人は減少しており、
スマートフォン一つで商品選びから注文までを完了させるユーザー行動が当たり前になってきています。このモバイルシフトの傾向は、Amazonにおいても強まっています。
それを裏付けるように、Amazonのユニークビジター数はモバイルがデスクトップの2倍以上と圧倒的に多く、モバイルで利用するユーザーが多いメディアです。

 

Amazonでも起こるモバイルシフト

 

Amazonの売り場としての特徴 ― 楽天市場、Yahoo!ショッピングとの出店形式の違い

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングは、日本国内において3大ECモールと呼ばれることがありますが、出店形式の面でAmazonは他2つとの違いがあります。

Amazonを含む、楽天市場やYahoo!ショッピングといったECモールを利用する企業は、ECモール内に自店舗を出店し、それぞれの企業が在庫の保管から販売、配送を行う形式を主にとっています。このような形式のECモールを「モール型」「マーケットプレイス型」と呼びます。Amazonにおいては、本形式を「セラーモデル」(後述の「ベンダーモデル」に対応)とも呼びます。

また、Amazonでは在庫の保管から配送までを全てAmazon内で完結する(Amazonの倉庫に在庫を預け、企業はAmazonで販売、販売後はAmazonの配送ネットワークを活用して配送を行うFBA形式(フルフィルメント by Amazon)も採用することができます。
(直近では楽天市場も同形式を採用することが可能です。)

Amazonは、このようなマーケットプレイス的な側面を持つ一方で中で、メーカー事業主との関係性においては、強力なリテール的側面も持っています。
メーカー事業主は、自社の商品をAmazonに卸し、Amazonに在庫の保管から販売、配送までを一任することができます。この形式をAmazonでは特に「ベンダーモデル」と呼びます。

Amazonの売り場としての特徴

楽天市場とYahoo!ショッピングは個々の店舗がそれぞれ販売している「商店街」、Amazonは莫大な商品数と種類を誇る巨大な「スーパーマーケット」を想像すると分かりやすいかもしれません。

どの形式を採用できる、あるいは採用すべきなのかについては、各企業の状況によって異なるため、詳細は別の記事で解説します。

 

Amazon広告の特徴と強み

ここからはAmazon広告に関する強みについて解説していきます。

Amazonが保持する圧倒的な量の購買データ

Amazon広告の特徴と強み

GoogleやYahoo!は「ユーザーが何を検索しているか」というデータ、FacebookやInstagramなどSNSは「ユーザーがどのようなコンテンツや情報が興味関心を持ってるか」というデータを多く保有し、これらは各メディアの広告プロダクトのターゲティングにも活用されてきました。

では、こうした検索エンジンやSNSなどのメディアと比較して、Amazonはどのような強みを持っているのでしょうか。
それは、「ユーザーがどんな商品を購買したか」という圧倒的な量の購買データを保持していることです。
グローバルにおいてTOPシェアで広告主に利用されているFacebook/Googleと比較しても、Amazonが保有するユーザーの実購買に最も近いデータの保有量はNo.1です。

また、購買データのみに留まらず、Amazon内での検索結果や商品への興味・関心についての膨大なデータも保有しています。

Amazonにはこうしたデータを活用できる広告メニューが複数存在しており、広告プロダクトとしての大きな強みとなっています。最終的には購買に繋げたいと考える企業が多いため、膨大なユーザーの購買データを活用できるAmazon広告は、マーケティング施策における重要性が非常に高まりを見せています

 

コンバージョン率の高さ

Amazonにおけるもう一つの強みは、ユーザーのコンバージョン率の高さにあります。
今まで使ったことのないECで何か商品を購入する場合、名前や住所など様々な情報登録をしなければならないため、ユーザーは一定の利用ハードルを感じます。しかし、Amazonは一度登録さえしてしまえばAmazon内に約3億点も商品が揃っているため、ECでの買い物の多くをAmazonで完結させることができます。

コンバージョン率の高さ

このような利点も加勢し、Amazonは通常のECサイトよりもコンバージョン率が高いのです。更に、翌日配送など様々なオプションがついているプライム会員のコンバージョン率は、より高い数値を誇っています。プライム会員はもちろん、非プライム会員も他のECサイトに比較して購買意欲の高いユーザーが集まっています。

こうしたECモールAmazonとしての強みは、Amazon広告での強みでもあり、Amazonの購買意欲の高いユーザーに対しての商品訴求や、圧倒的に精度の高い実購買データを活用したターゲティング配信を行うことができます。

 

商品カタログとしても利用されるAmazon

Amazonの活用手法としてメインとなるのはEC機能となるのはもちろんですが、同時に、多くのユーザーはAmazonを“商品カタログ”としても利用していることが分かっています。

近年、何か商品を購入しようと思ったとき、GoogleやYahoo!などの検索エンジンではなく、Amazonで商品名を検索し、商品レビューで購入者のリアルな声を確認したり、価格やバリエーションなどで商品を検討したりするユーザーが増えてきています。この記事を読んでいる皆さんも同じような経験をしたことがあるのではないでしょうか。
また、実店舗で商品を購入する前に、購入したい商品の詳細やレビューを確認するなど、一度Amazonを経由するというパターンも増えています。Amazonは単純なECサイトではなく、膨大な商品情報が詰まったレビューサイトでもあるといえます。

このようにECとして商品購入時のみ利用されるだけではなく、商品を比較検討する際も利用されているということはAmazonをしっかり活用する上で非常に重要なポイントです。
Amazonがマーケティングフファネルにおける購買段階だけでなく、比較検討の段階でも利用されるケースが増えていることは、調査からも明らかです。

「ニールセンオンラインショッピング2021」では商品を検討する際に利用するサービスとして、Amazonの名前が挙がっています。

商品を検討する際に利用するサービス

35歳以上では楽天に次いで2番目に多く利用されているサービスがAmazonであり、全体の48%を占めるという調査結果が報告されています。そして、18歳から35歳においてはGoogle検索や楽天市場を抑えてAmazonが一番多く利用されており、全体の46%が使用していることが報告されています。

このように18歳から35歳の若い世代を中心に、Amazonは商品の検討の際にも用いられています。つまりAmazon内に掲載できるAmazon広告は、Amazonに商品を購入しにきたユーザーだけではなく、どの商品を買うか検討するために訪れたユーザーにもアプローチができる、有用なマーケティング手段といえます。

 

Amazonの広告プロダクト

では、最後にAmazonをメディアとしても売り場としても有効に活用するための手段の一つである、Amazon広告の種類を簡単に紹介します。

Amazonの広告プロダクトは大きな括りで見ると、純広告、AmazonDSP広告、スポンサー広告の3種類に分類することができます。

Amazonの広告プロダクト

 

  • 純広告:AmazonのTOPページなどAmazon内に主に掲載されます。
  • AmazonDSP広告:Amazon内だけでなくAmazon外の提携サイトにも掲載されるディスプレイ広告です。
  • スポンサー広告:Amazon内に掲載でき、Amazonに出品している広告主が売上向上のために活用する検索連動型の広告です。
    スポンサー広告には、スポンサープロダクト広告、スポンサーブランド広告、スポンサーディスプレイ広告の3種類があり、ユーザーのAmazon内での検索行動などに基づいて広告掲載が行われます。


Amazon広告は唯一Amazon内に掲載ができる広告でもあり、ここまで述べてきたように購買意欲の高いユーザーに訴求したり、実購買データを基にしたターゲティングが活用できたりするなど、ぜひ押さえておいてほしい広告商品です。

 

おわりに

今回はECプラットフォームAmazonの特徴と、Amazon広告について大まかに解説してきましたが、Amazonやその他ECに関すること、Amazon広告の詳しいプロダクト情報などは今後も記事を更新していくのでぜひご確認ください!

DACでは、AmazonをはじめとするECモールの活用や、オウンドサイトの活用など、Eコマースにおけるマーケティング施策に関するご相談をお待ちしております。
是非、お問い合わせください。

 

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この記事の執筆者

星野 萌

DACへ新卒で入社。Amazon・楽天市場などのECプラットフォームにおける広告を横断的に担当し、ECモール広告のプランニング、運用、分析業務を一気通貫で実行。家電メーカーや食品メーカーを中心とした大手企業を中心に経験を積み、ECモールにおける売上最大化に向けたPDCAの実行業務を担当。

DACへ新卒で入社。Amazon・楽天市場などのECプラ...

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