データの活用が企業のマーケティング活動の中で非常に重要視されている昨今、日本でも認知が大きく広がり世界的に導入企業が増加傾向にあるのが『カスタマー・データ・プラットフォーム(以下、CDP)』です。
本連載ではCDPの基礎知識から活用方法、導入に向けたステップなど、CDPに関する情報をお届けします。第2弾の本記事ではCDPを中心とした顧客理解、コミュニケーション施策についてお伝えします。
CDP連載ブログ
【第1弾】いまさら聞けない『CDP』とは?|その種類や活用方法まで詳しく解説!
【第2弾】CDPで何ができるのか?|データ統合による顧客理解とコミュニケーション施策をご紹介!※本記事※
【第3弾】CDPとDMP・MAの違いと最適な活用法
【第4弾】『CDP』導入までの3つの壁|直面する課題とその解決策を細かく解説!
【第5弾】『CDP』導入後の流れ|どのようにプロジェクトを進めればよいか?成功のために意識すべき点について(前編)
【第6弾】『CDP』導入後の流れ|どのようにプロジェクトを進めればよいか?成功のために意識すべき点について(後編)
CDPを中心としたマーケティング全体像
CDPを導入することで、顧客理解を深め、それぞれの顧客にあったOne to Oneコミュニケーションを実現することができます。
連載第1回の記事でもお伝えした通り、CDPは自社で保有しているデータを統合し、それらを分析、そして分析したデータを他のマーケティングツールへ連携することで、自社データすべての起点・ハブとなる働きをするソリューションです。
上図では自動車会社を例にしておりますが、データ活用の流れは以下のようになります。
データ収集・統合 ⇨ データ分析 ⇨ データ活用
まず、「どのような分析を行いたいか」「どのような施策を行いたいのか」という目的を具体的に整理し、その上でプライバシー保護を意識しつつ、収集するデータを決定します。
それらをCDP上で統合することによって顧客理解を深めるための基盤を作ります。
そして収集したデータ、例えば顧客の会員登録情報や自社WEBサイトへのアクセスログ、来店情報、過去購買履歴、広告接触ログ、他社製品への関心度など様々なデータを掛合せて分析を行い、顧客の状況に合わせ、最適なチャネル(メールや広告配信、SNSなど)にて最適なメッセージの配信を行います。
さらに、CDPを活用することで広告をクリックしたユーザーにメールを配信する、メールを開封していないユーザーに広告を配信するなど、チャネルを横断した施策を行うことも可能になります。
分析したデータからどのようなアプローチが最適かを見極め、適切なタイミング・内容のアプローチでロイヤルティ・LTVの最大化を図ることが重要です。
また、施策を実行して終わりではなく、BIツールでデータを可視化することで、分析データをもとにPDCAを回しながら次の打ち手を企画・実行していくことが可能です。
CDPを中心とした施策についてざっくりとお話いたしましたが、次章からは「顧客理解の深化」と「顧客コミュニケーション」についてより詳細に見ていきましょう。
顧客理解の深化
まずは「顧客理解の深化」についてです。企業によって、会員登録情報、WEBアクセスログ、アプリデータ、ECでの購買データ、POSデータや店舗来店などのオフラインデータなど、様々なデータを保有しています。
多くの場合、事業部ごとに管理しているデータや利用ツールが異なっており、顧客接点や施策ごとにデータが分断されてしまっています。
例えばWEBアクセスログと購買データを別々に管理していると購買前のWEBでの検索行動や比較検討の行動を把握することができません。しかし、それらのデータや会員登録情報などを統合管理することで、顧客の年齢、性別、購買までの検索行動、過去購買実績を顧客軸で可視化することができ、ロイヤル度やその他商品への関心を把握することにつながります。
それらのデータを元に、次回の接点をどう持つかを検討することが可能になります。
ステップとしてはどのような施策・分析を行いたいかを明確にし、その上でどのようなデータを取得しているか、また施策を実行するうえで必要なデータが何か、保有するデータの棚卸を行います。そして行う施策にはどのデータが必要か、何が足りていないかを整理し、CDPに統合していきます。
基本的な会員属性は取れているが何に関心を持っているのかわからないといった場合には、外部の3rdpartyデータの取込みを行うことが有効です。弊社のAudienceOne®などのパブリックDMPのサービスを活用することで、1st partyデータだけでは捕捉できない興味関心データやアンケート回答データ、属性データなどを付与することができます。
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顧客コミュニケーションの実行
前章でお伝えした通り、散在した顧客データを統合することで、顧客像をより深く知ることができます。しかしながら、顧客像の把握を行うだけでは、成果を出すことはできません。
顧客を理解した上で、顧客にあったコミュニケーションを行うことが重要です。
上図のように、データが散在している場合、「オンラインショップでの購買履歴をもとに広告を配信する」「サイト閲覧ログを元にメールの出し分けを行う」などの単発だった施策が、オンラインショップの行動・購買ログ、公式サイトでの行動ログ、キャンペーン応募履歴等の様々なデータを元に顧客分析を行うことで、それぞれの顧客に対して最適なコミュニケーションを、最適なチャネルで行うことが可能になります。
例えば新規ユーザーの獲得を目指す施策では、公式サイトへの訪問が頻繁なユーザーからオンラインショップでの購買履歴があるユーザーを除外することで効率的な広告配信を行ったり、キャンペーンへの応募履歴はあるもののオンラインショップへの訪問がないユーザーにLINEを経由してクーポンを配布するなどの施策が考えられます。
顧客とのOne to Oneコミュニケーションの、さらに具体的な例として、LINEとCDPの連携をご紹介いたします。WEB行動ログやオンラインショップ行動ログに加え、LINEのユーザーID(UID)をCDPに統合管理することで、WEBサイトでの行動をもとにしたLINEでのメッセージ配信が可能となります。生活のインフラとなっているLINEを活用することで顧客との接点を増やすことができ、CDPで分析したデータを元に一人一人に合った効果的なコミュニケーションを行うことが可能になります。
例えば、アプリの利用頻度が低下している顧客に対してLINEでメッセージを送って再来訪を促したり、オンラインショップでかごに商品を入れたまま離脱した顧客にLINEでリマインドメッセージを送付する、またはLINE上で顧客の興味関心などをアンケートにて取得し、その内容に合わせたメッセージの出し分けを行う、などが考えられます。
また、このような施策を行う際に、CDPと各施策実行ツール間のデータ連携が必須となります。TreasureData CDPでは様々なツールとの連携を行うことができる「コネクタ」機能が備わっており、チャネルを横断したコミュニケーション施策の実行が可能です。
本来、外部ツールとの連携のためにはAPI連携等の開発が必要となりますが、TreasureDataCDPは170を超えるツールとの連携実績があり、連携設定を行うだけでデータの受け渡しが可能となり、スムーズな施策実行をご支援いたします。
※LINEのUIDを取得するにはAPI連携が必須となります。
この部分もトータルでご支援可能ですので、お気軽にご相談下さい。
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まとめ
このように、CDPを中心として散在したデータを統合・管理・分析することにより、顧客像を深く知り、顧客にあった最適なコミュニケーションを実施することができるようになります。
次回のブログではCDPを導入するにあたっての課題やその解決策をご紹介予定です。
楽しみにお待ちください!
DACではCDP構築に当たってのデータの棚卸、環境構築、運用までトータルサポートが可能です。お気軽にお問い合わせください。